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赤バス廃止案、「高齢者の足」反発も乗客平均4人、赤字19億円見込み赤字続きのバス事業の改革に取り組む大阪市交通局は10日、全155路線のうち、採算性が低い45路線の廃止案を発表した。2002年から運行する小型コミュニティーバス「赤バス」は全28路線が廃止に含まれる。赤バスは、小型バスの特性を生かし、公共施設や病院などを巡る細かいルート設定で「高齢者の足」ともなっているだけに、全面撤退には市民や議会の反発も予想される。 ◆
赤バスはノンステップ型の25人乗りで、運賃は一律100円と割安。市民の要望に基づいてルート設定しているが、既存のバス路線との重複も多く、1便あたりの平均乗客数(今年度見込み)は4人と低迷する。 市のバス事業では今年度、73億円の赤字が生じ、累積赤字は606億円に膨らむ見通し。経営改善を迫られる交通局は「赤バスでしか移動できない乗客は、全体の15%程度で、廃止の影響は限定的」と判断した。 今回の改革案で76億円の改善効果を見込んでおり、市民アンケートなどを実施した上で議会や有識者の意見を踏まえ、今年度中に最終方針を決定、早ければ10年度末に実施するという。 ただ、利用者は強く存続を求める。この日、大阪市天王寺区のJR天王寺駅前で停留所に並んでいた女性(80)は廃止案を聞くと、「そんなアホな。無駄な事業はほかにたくさんあるはず」と口調を強める。入院中の妻を見舞うために利用する無職杉本祐司さん(80)も「財政難はわかるが、赤バスは高齢者にとって命綱だ」と訴えた。 一方で、100円の収益を上げるのに812円かかる路線もあり、今年度の赤バス事業の赤字見込み額は19億5000万円に上ることから、「必要性を考え直す時」との意見も。山内弘隆・一橋大教授(交通経済学)は「コミュニティーバスも淘汰の時代に入った。便利だが、赤字が続けば整理対象となるのは仕方ない。乗客の要望に応じて走るデマンド交通の導入などを検討してはどうか」と提言する。 国土交通省によると、コミュニティーバスは全国1087市町村(07年度末)が運行しているが、利用者減などで横浜市や大阪府八尾市が中止するなど、撤退の動きも出ている。 (2009年6月11日 読売新聞)
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