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産経「鯨肉生産は牛肉よりエコ」はデマだった

      「個人的な試算」水産庁・水研センターが報道を公式否定

※筆者は作家として、既にこの筆名を使っています(編集部)

 産経新聞4月24日付に大きな見出しの記事が躍った。
 「鯨肉は牛肉よりエコ?CO2排出量は10分の1以下」

 (以下、記事の引用)
 「数年前の調査捕鯨船団の燃料使用量からCO2の排出量を計算。捕鯨で生産・販売された鯨肉1キロ当たりのCO2排出量を試算した。その結果、日本から約1,000キロ沖で行われる北太平洋の調査捕鯨では、鯨肉1キロをとるために、約2・5キロのCO2が排出されていると推計。1万キロ以上離れた南極海の調査捕鯨では、CO2の排出量は増えたが、それでも約3キロにとどまった。これに対して、畜産農家が牛肉1キロを生産するために、排出するCO2などの温暖化ガスは36・4キロと計算されており、鯨肉の排出量は10分の1以下になることが判明した。牛肉生産では、牛の飼育やエサの生産・運搬などで大量のエネルギーが使われるが、鯨肉は、捕鯨船団の燃料だけですむため、温暖化ガス排出も比較的少ないという。」
 (引用終わり)

 記者(カメクジラネコ)は昨年、報道発表の資料をもとに調査捕鯨によって排出される二酸化炭素(CO2)排出量を試算し、JANJANに書いていた。
 「遠洋調査捕鯨は地球にやさしくない・日新丸船団、CO2を4万tは排出か?」 2008/07/20

産経「鯨肉生産は牛肉よりエコ」はデマだった | 国際捕鯨委員会(IWC)の昨年の年次会合が開かれていたチリ・サンティアゴのホテル中庭で、メディアに活動計画を説明する「シーシェパード」創立者のポール・ワトソン氏。「日本 停止 殺さない 捕獲」などの文字が見える。シーシェパードは「環境過激派」と呼ばれ、日本の調査捕鯨に反対して船団に対する直接的・暴力的な妨害活動で知られる(佐久間淳子記者撮影)
国際捕鯨委員会(IWC)の昨年の年次会合が開かれていたチリ・サンティアゴのホテル中庭で、メディアに活動計画を説明する「シーシェパード」創立者のポール・ワトソン氏。「日本 停止 殺さない 捕獲」などの文字が見える。シーシェパードは「環境過激派」と呼ばれ、日本の調査捕鯨に反対して船団に対する直接的・暴力的な妨害活動で知られる(佐久間淳子記者撮影)
 このときの推計では、鯨肉1kg当りのCO2排出量は7.7−9.7kgであった。今回の産経記事の数字とは大きく食い違う。また、産経記事の「牛肉1kg当りのCO2排出量36.4kg」についても、他の研究機関が公式に発表している約16kgという推計とは2倍以上も隔たっている。
 「“温暖化ガス排出食”の王者は牛肉、畜産分野の約80%」(2月16日、AFP)
 「クジラの肉は牛肉より環境に優しい=ノルウェー活動家」(ロイター)

 何より、「鯨肉は、捕鯨船団の燃料だけですむ」という記述が事実に反するのは明らかだ。日新丸船団がメタンや代替フロン(HFC)を排出しない新技術を搭載した「スーパー船舶」だとすれば、そちらの方で、まさに世界的なビッグニュースとなったろう。

 代替フロンは、冷凍・空調設備に冷媒として使用される。オゾン層を破壊しないが、種類によってはCO2の1万倍にも達する強力な温室効果を発揮するものがある。

 記事に名前の出た独立行政法人水産総合研究センターは、農水省所管の科学研究機関だ。理事長の中前明氏は水産庁次長から天下りした人物で、IWC(国際捕鯨委員会)日本政府代表団の団長を務める。水研センターが何らかの政治的な思惑で科学的事実と明らかに反する発表を行ったとすれば、これは重大な問題である。

 この産経記事の件について、記者は水産総合研究センターに問い合わせたところ、5月11日に同センター広報課から回答があった。「今回の調査は水産庁遠洋課からの委託で行い、産経記事は水産庁への取材に基づくもの。詳細は担当した遠洋課の水産調査官が別途連絡する」とのことであった。

 その後しばらく待ったが遠洋課からの連絡がなかったので、記者は5月25日に公開質問状を送った。
 「『鯨肉は牛肉よりエコ?』報道に関する公開質問状」(記者のブログ)

 水産庁遠洋課の伊佐調査官からご返事をいただいたのは5月28日。「水産総合研究センターとの行き違いにより返答が遅れた」という謝罪に加え、送られてきた内容は以下のとおりである。

 「ご指摘の点について、事実関係から申し上げますと今回の調査は水産庁遠洋課の委託によるものではないこと、従って質問にある調査の詳細、データ等については承知していないために返答できないことを申し上げます。一部の行政官、研究者が非公式に個人的な勉強として試算していたものを産経新聞の記者が独自に取材し、記事にしたものと推察します。

 また、産経新聞の記事にある水産庁のコメントは、同記者に対し、私から『(そのようなデータを水産庁としてオーソライズするのではなく)そのような試算を行うことには関心がある』と述べました。

 今後、水産庁としても関係方面と協力して試算を行うことを検討する際は、貴殿からのご指摘も参考にして検討して参りたいと思います。」

 調査鯨肉「土産」事件では水産庁側の説明は二転三転したが、今回の水産庁による調査委託の有無に関しては、とりあえず水研センター広報室の「勘違い」で、委託はなかったとのことである。

 水産庁側の回答を受け、記者は再度、水産総合研究センターに公式見解を求めた。そして、6月1日に同センターの和田研究推進部長から以下のご返答をいただいた。

 「今回の記事については、当センターに対しては全く取材はなく、水産庁に対して取材があったものと承知しており、水産庁からは、貴殿に対し然るべく回答された旨を伺っております。

 なお、当センターとして、わが国の調査捕鯨における鯨肉生産及び、肉牛生産におけるCO2排出量を試算したことはなく、したがって当センターの成果として公表したこともありません。」

 結局、産経が報道した今回の「調査結果」の数字は、検証をまったく経ていない個人の非公式な試算にすぎなかったことになる。「水産総合研究センターの調査で出た」という産経の報道が、当の水研センター自身によって公式に否定されたからだ。

 水産庁調査官の「関心がある」というコメントが、産経記事の中で一人歩きしてしまい、「商業捕鯨再開などをめぐる国際交渉で、反捕鯨国へ理解を求める新しい視点になる」などという、およそかけ離れた「解説」となってしまったのである。

 さらに、この産経報道は、多数の市民がブログなどに引用し、あたかも既成事実であるかのように信じ込まれている。中日新聞も、社説に次のように書いた。中日新聞から水産庁や水研センターへの取材はなかったという。

 「水産関係者によると動物性タンパク質を増やすには、畜産よりも漁業生産のほうが二酸化炭素(CO2)排出量は十分の一以下で済むという。地球環境問題からはこの指摘は無視できない。」(中日新聞5月24日付「難航IWC 溝は深いが望みはある」

 影響力のきわめて大きいマスコミの報道姿勢が問われる。産経新聞と言えば、日本の調査捕鯨の担い手・財団法人日本鯨類研究所の馬見塚達雄理事は、同社の元論説委員である。

◇ ◇ ◇

ご意見板

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[46708] 先程の分の魚拓を貼り忘れてました・・・
名前:轟一郎
日時:2009/06/12 20:58
http://s01.megalodon.jp/2009-0612-2052-32/www.news.janjan.jp/living/0906/0906010416/1.php?action=table&msg_article=114417


でも今回分は丁度片山様によるLCA内訳の投稿分が含まれるので

無いとは思いますが、この分のコメントが削除されない為にも・・・
[返信する]
[46707] さて先程のコメント4件分が全て痕跡無く消されていますが・・・
名前:轟一郎
日時:2009/06/12 20:47
[46673] さて先程のコメント4件分が全て痕跡無く消されていますが・・・
名前:田口誠二
日時:2009/06/12 12:03 [46658] そしてその荒木様への再返答分も痕跡無く消されています・・・
名前:榊原博之
日時:2009/06/12 09:28 [46651] そも調査副産鯨肉での計算と比較が前提として異常なのです。
名前:榊原博之
日時:2009/06/12 00:41 >「鯨肉は、捕鯨船団の燃料だけですむ」(産経)のは間違い、ということにつきるのでしょうか‥‥。


コレについては全く否定しません。

"牛みたいにゲップで温暖化が進んだりするような要素は無い"と

燃料消費以外の要素にアドバンテージがある事を強調すればよかったのに、ナニやってんだよ、と思います。


>榊原さんの私への批判(「基本的に畜肉や飼料輸送にも同等に掛
>かる空調・冷凍冷媒のリークを畜肉での計算に含まれてるかどう
>かの確証も無しに鯨肉生産に加算してしまったり・・・」など)
>は、

コレは実は荒木様への批判ではありません。

ぶっちゃけると、カメクジラネコ様がブログ等で開陳なさってる出鱈目への窘め、です。

>また、鯨研・産経側の大チョンボにも気づかないので、たいてい
>の人々は「温室効果ガス10分の1」に幻惑されているのではな
>いでしょうか?

そうだと思いますし、数字根拠が明確でない、という意味で一旦正されるべきだと思いますが、事実牛肉についてはその環境負荷を過大に評価するぐらいでないと環境破壊に歯止めが利きません

LIVESTOCK'S LONG SHADOW 「牛が環境への最大の脅威 FAO報告」(2006年)
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/agrifood/agrienvi/06121301.htm

―Livestock’s long shadow,06.11.29

environmental issues and options

http://www.fao.org/docrep/010/a0701e/a0701e00.htm

勿論、コレによる鯨肉生産での温暖ガス排出の根拠無き過小評価を正当化しては良くないですが・・・




何れにせよ、荒木様の様に冷静・公正に投稿を読んで返答していただける方が反捕鯨側にいらっしゃる事に安心しました。
[返信する]


[返信する]


[46657] そのpdfの内容だけではやはり・・・
名前:榊原博之
日時:2009/06/12 09:25 昨日荒木様に対して返答したコメントが痕跡も残さずに消されていますが・・・?

名前:榊原博之
日時:2009/06/11 19:09 荒木様、そのpdfを見てみましたが、


>「牛肉のCO2排出量36.4kg」というのは「ライフサイ
>クル全体」の値(流通や保管、廃棄に関する「すべてのCO2排
>出量」)だからです。


が、カメクジラネコ氏の言う、「船団の船舶・設備等」の製造に掛かるLCAと同等のモノが牛肉生産についても計上されている様には見えないんですけども・・・

「牛肉1kg生産に掛かるすべてのCO2」に「流通・保管・廃棄」という「行いそのもの」の排出ガスが計上されているとしても、

「鯨肉生産に於ける捕鯨母船・キャッチャー等の建造に掛かる温暖ガス排出を計上すべし!!(この記事その物では言ってませんがブログではおっしゃってます)」 「捕鯨船建造費等を含めなければ公正とはいえない!!」と言っておられる方がいる一方で、

畜肉生産に於けるその種の設備投下LCA、飼料生産用農業機械、農地開拓・整備工事、肥料生産会社も屠畜・解体・加工等全ての設備施設も畜舎・飼料保管庫等建造等に加え、日本の場合特に、

<・飼料/解体・加工後の精肉を運搬する船舶の建造での温暖ガス排出>

等々・・・

数え上げればキリが無い程多くの投下設備LCAが同じく加算されるべきなんですけど、この「36,4kg」にはそれが含まれてはいないようですね。


この事実を見ないままで「保管・廃棄・流通」分が計上されてるから<・牛肉1k生産あたりの「全てのCO2排出量」=36,4kg>と書いてしまうのは、どうなんでしょうか?


「鯨肉は、捕鯨船団の燃料だけですむ」(産経)というのは確かにマチガイですし、これを否定しまいと言ってる人は殆ど居ないでしょうけど、船舶機関排出分以外のたとえば空調・冷凍用の冷媒ガス漏洩や国内流通での排出ガス等の基本的な条件はそれほど大きな隔たりが見付かりません。

それらは基本鯨肉・畜肉両方の運輸・流通・保管にもかかりますし、畜肉には単位食肉生産量分の最大11倍の重さの飼料での計算も(勿論、生産国国内/日本国内分での移送も)考えると、餌が不要である鯨肉生産でのガス排出量を増やすそれ以外の要因が見当たりません。

飼料肥育型の畜産ならばどの国で肥育しようが大なり小なり飼料の運輸は付き物ですし、ましてや日本の濃厚飼料自給率は1割以下ですし、その輸入相手国は広大な国土を持つUSAや豪が主です。
それらの広い国で収穫された飼料穀物を港湾地域まで運輸する燃料消費は飼料生産農地の場所にも拠るでしょうが、おしなべれば日本国内での運輸とは桁が違うでしょう。

何が言いたいのかというと、日本に於ける食肉生産事情を考えた時に、その国内飼料自給率の低さ、飼料生産国国土の広さ、と畜肉輸入相手国の距離的な遠さ、などの条件からそれらを考慮しなくて済む鯨肉生産にこれ以上ハンデが増えるとは考え難い、という事です。

>「牛肉のCO2排出量36.4kg」という「ライフサイクル全
>体」の値(流通や保管、廃棄に関する「すべてのCO2排出
>量」)とくらべて、

上で書いた様にこれを「ライフサイクル全体」での数字、と書くのはマチガイです。
カメクジラネコ氏も前コメントで「LCAの一部」と表現していたようですが、どっちにせよ詳細が分からないので「全部」は早合点です。
「日本LCA学会の資料」の内容が何処までをLCAとして計算してるかはワカリマセンが、施設設備の「生産財」製造コスト等が含まれないのならば逆方向の誤解が広まるだけじゃないのでしょうか?

前にも書きましたが鯨肉生産を第一義としない調査捕鯨での単位生産当たり排出量を畜肉と比較してしまってるのが鯨研・産経側の大チョンボです。
先ずその事で反捕鯨側に付け入られてるのは自業自得だと思います
が、

そのチョンボに付け入って燃料費とその価格から割り出した消費
燃料量での温暖ガス排出量を導き出し、

それでも牛肉と比べるのに足りないと見るや鯨肉にだけシレっと
「生産財」製造でのコスト計上を要求したり、

基本的に畜肉や飼料輸送にも同等に掛かる空調・冷凍冷媒のリークを畜肉での計算に含まれてるかどうかの確証も無しに鯨肉生産に加算してしまったり・・・

というような便乗型のインチキ計算でクジラさんを何とか助けようとなさる、その様な真似は止めて頂きたいものですね。


[返信する]


[46656] 痕跡無しの削除は
名前:榊原博之
日時:2009/06/12 09:23 [44427]
名前:榊原博之
日時:2009/06/11 22:24 「痕跡も残さない削除」をJANJAN運営が行ってる、という証拠を昨日までに取得して色んな所に貼って廻った魚拓が功を成したのか、と安心しておりましたが、運営にとって本当に不都合だと痕跡すらも残せないのでしょうw



私が昨日過剰なまでに連投したのは出来うる限りその証拠を
多く取得してJANJANの不公正な行いの是正に使う為でもありましたが、ナリフリかまわぬ防衛体制に入られるとそれすら無意味になってしまう・・・

勿論、第三者がJANJANを判断する材料としては十分有効なので、
魚拓はこれからも採り続け、貼り続けるんですけれども・・w
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[46655] スミマセン、削除の度の書き起こしが面倒なもので・・・w
名前:榊原博之
日時:2009/06/12 09:22 [46626] スミマセン、削除の度の書き起こしが面倒なもので・・・w
名前:榊原博之
日時:2009/06/11 22:13 >KKN氏から元祖粘着君(粘着1号)の称号を得たものとして一言。


伊藤様とカメ氏のやり取りも拝見させて頂いておりましたが、
その分のログは氏が反論出来ない意見を出す相手に「粘着」と名付ける、というハッキリとした裏付けになりますねw


LCAについてはケース毎の仔細な資料が無いとカメ氏の様に
自己都合に合わせて悪用する方が出てきますので信用に足る
公開資料が待たれますね。



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[46653] ご意見ありがとうございます
名前:カメクジラネコ
日時:2009/06/12 01:57 >鈴木さん




[返信する]


[46669] ライフ・サイクル・アセスメント プラス生物多様性
名前:荒木祥
日時:2009/06/12 11:31  伊藤さんがすでにご指摘のように、「LCAを実施するにあたりバウンダリー(どの要素までLCAにおいて考慮するか)の決定は極めて重要で、それを明示することは極めて重要」だと私も思います。しかし、日本の現行の調査捕鯨は「はるばる遠くから運んでくる」時点で、すでに問題だと思います。

 と同時に、一人の消費者としては、
http://www.sntt.or.jp/~gce/member/lecture/lecture2_Mr.Koujitani.pdf
 や
http://www.gpn.jp/select/guidlines/pdf/report_food.pdf
 が指摘する様な、食品におけるグリーン購入の原則も大事にしたいと思います。

 http://www.sntt.or.jp/~gce/member/lecture/lecture2_Mr.Koujitani.pdf 
(の11P)から「グリーン購入の原則」に立ち戻れば、そこには10項目が上げられていて、「4 作るとき、使うとき、捨てるとき、資源とエネルギー消費の少ないものを選ぶ」と同時に「6 自然と生物多様性をそこなわないものを選ぶ」とあるからです。(その他の8項目も重要だと思います)

 カメクジラネコさんの、これまでの「4 作るとき、使うとき、捨てるとき、資源とエネルギー消費の少ないものを選ぶ」観点からの捕鯨批判は(さまざまな難点はあるにせよ、大筋で)素晴らしいのですが、一人の読者・消費者としては、LCAと同時に「自然と生物多様性をそこなわない」かどうかも問い続けたいと思います。その点でもやはり、日本の現行の調査捕鯨はさまざまな問題を抱えているし、横領鯨肉問題も解決できておらず、余剰鯨肉の現地投棄という問題もあり、社会的な公正さの面でもよくない(エシカルでない)と思います。


[返信する]
[46706] 36.4kgのバウンダリー
名前:堅山安夫
日時:2009/06/12 20:32
一番最初のコメントで牛肉36.4kgの根拠へのリンクを紹介しました。
その中から試算に含まれる内容の部分を抜き出します。


(大元の論文のアブストラクトから)
The functional unit was defined as one marketed beef calf, and the processes associated with the cow?calf life cycle, such as feed production, feed transport, animal management, the biological activity of the animal and the treatment of cattle waste were included in the system boundary.


(研究をレビューした科学雑誌の記事から)
The team looked at calf production, focusing on animal management and the effects of producing and transporting feed.
---
The calculations, which are based on standard industrial methods of meat production in Japan, did not include the impact of managing farm infrastructure and transporting the meat, so the total environmental load is higher than the study suggests.


上記最後の文にもあるように、LCA的な評価をすれば牛肉の環境負荷は36.4kgよりもさらに大きくなります。荒木記者の紹介するグリーン購入ネットワーク資料の7ページ目を見ると、トータルLCAと勘違いしそうです。資料は「飼料生産、飼料輸送畜体、ふん尿処理など」と注釈をつけていますが、普通の人には、環境負荷の一部しか含んでいないことまでは理解できません。


牛肉も鯨肉も食べずに暮らせばよいのかもしれませんが、
そうも行かないときには、生物多様性をそこなわない程度に鯨肉を利用し、その分牛肉を減らすというのは、環境負荷から見て間違っていないと思います。


カメクジラネコ記者の試算をもってしても、環境負荷の王者・牛肉には追いつけませんよね。
「牛肉のほうがエコ」と思わせようとするから無理が生じるのであって、いっそのこと「両方ともやめよう」と言ってしまうほうが話が早いのではないですか。
[返信する]
[46669] ライフ・サイクル・アセスメント プラス生物多様性
名前:荒木祥
日時:2009/06/12 11:31
 伊藤さんがすでにご指摘のように、「LCAを実施するにあたりバウンダリー(どの要素までLCAにおいて考慮するか)の決定は極めて重要で、それを明示することは極めて重要」だと私も思います。しかし、日本の現行の調査捕鯨は「はるばる遠くから運んでくる」時点で、すでに問題だと思います。

 と同時に、一人の消費者としては、
http://www.sntt.or.jp/~gce/member/lecture/lecture2_Mr.Koujitani.pdf
 や
http://www.gpn.jp/select/guidlines/pdf/report_food.pdf
 が指摘する様な、食品におけるグリーン購入の原則も大事にしたいと思います。

 http://www.sntt.or.jp/~gce/member/lecture/lecture2_Mr.Koujitani.pdf 
(の11P)から「グリーン購入の原則」に立ち戻れば、そこには10項目が上げられていて、「4 作るとき、使うとき、捨てるとき、資源とエネルギー消費の少ないものを選ぶ」と同時に「6 自然と生物多様性をそこなわないものを選ぶ」とあるからです。(その他の8項目も重要だと思います)

 カメクジラネコさんの、これまでの「4 作るとき、使うとき、捨てるとき、資源とエネルギー消費の少ないものを選ぶ」観点からの捕鯨批判は(さまざまな難点はあるにせよ、大筋で)素晴らしいのですが、一人の読者・消費者としては、LCAと同時に「自然と生物多様性をそこなわない」かどうかも問い続けたいと思います。その点でもやはり、日本の現行の調査捕鯨はさまざまな問題を抱えているし、横領鯨肉問題も解決できておらず、余剰鯨肉の現地投棄という問題もあり、社会的な公正さの面でもよくない(エシカルでない)と思います。
[返信する]
[46653] ご意見ありがとうございます
名前:カメクジラネコ
日時:2009/06/12 01:57
>鈴木さん
おっしゃるとおり、リソースをふんだんに活用できる職業ジャーナリズム・大手新聞であればなおのこと、報道すること、してしまったことに対する厳格さが求められるはずではないかと思います。今回、なぜこのような事実と大きく食い違う記事が掲載されてしまったのかを検証し、その結果を公開する義務もあるのではないかと思います。


>平田さん
おっしゃるとおりだと思います。自戒も込めて・・


>伊藤さん
明晰な解説ありがとうございます。
度重なる失礼をお詫びいたします。挑発的なコメント・見出しについては自重するようにいたします。
称号は取り消します・・


>堅山さん
確かにキツイ標題だったかもしれません。読者に訴えるうえでも、もう少しトーンを落としたほうがよかったかもしれませんね。実は、私は最初「!!」を付けちゃいまして、編集部にそこを直していただいたのですが・・
ただ、私としましては、「権威ある独立行政法人の研究機関による正式見解」「燃料消費のみという主張」「水産庁の見解の捻じ曲げ」という3点から、「きわめて悪質」という判断をしました。
投稿規程ではなく、市民記者登録には実名と正確な個人情報が必要で、それを何度も詐称していれば話はまた別なのではないでしょうか。
[返信する]
[46623] [46409] アドバイザー について
名前:堅山安夫
日時:2009/06/11 21:48
[46409] はカメクジラネコ記者および掲載記事に対して書いたものではなく、JANJAN編集部が中村透氏のコメントを痕跡も残さず削除した(無かったことにした)ことに対する判断材料(といってもJANJAN自身が公開している情報、無味乾燥な事実関係のみですが)を、読者に対して提示しただけです。どう考えるかは読者それぞれの判断です。


今日から「痕跡なし(無かったこと)削除」はやめにしたのかと思っていたら、
夕方からまた「痕跡なし(無かったこと)削除」が行われているようですね。
[返信する]
[46621] 勝った負けたの話ではないんでしょうが
名前:堅山安夫
日時:2009/06/11 21:43
「デマ」というタイトルを付ける時点で、「故意に間違った情報を流す悪者」的な決め付けがなされているんですよね。喧嘩を売っているようなものです。


わざわざ事を荒立てないように、というか、「故意に」というのは立証困難なので、
普通は「誤報」という言葉を使うものではないですか。
[返信する]
[46618] いくばくかの補足
名前:伊藤学
日時:2009/06/11 21:18
既に多くの識者が指摘していますが、LCAを実施するにあたりバウンダリー(どの要素までLCAにおいて考慮するか)の決定は極めて重要で、それを明示することは極めて重要です。

ましてや、性質の異なる複数の活動による環境負荷を比較するにあたっては、両者の条件が公平にするようバウンダリーは慎重に決定しなければなりません。

中村様

KKN氏から元祖粘着君(粘着1号)の称号を得たものとして一言。
科学的に論駁するのも大事ですが、世論に背を向けられては元も子もありません。確かにKKN氏のコメントはいつでも挑発的であり、つい頭がカーと熱くなってしまうのですが、それはまさに相手の思うツボです。
[返信する]
[46596] [46436] 昨日の「吉田数男」名義の投稿分再掲です。
名前:島本幸雄
日時:2009/06/11 10:31


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ご意見板利用規定3に基づき削除しました(編集部)

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[返信する]
[46595] [46437] そしてまた更に「なかった事に・・・
名前:島本幸雄
日時:2009/06/11 10:30


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ご意見板利用規定3に基づき削除しました(編集部)

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[返信する]

6月1日〜6日 

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