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FX:レバレッジ倍率、規制強化 投資家反発も--金融庁

 <世の中ナビ NEWS NAVIGATOR>

 金融庁は、外国為替証拠金取引(FX)について、少ない証拠金で高額の取引ができる「レバレッジ」の倍率規制に乗り出した。今月29日まで一般から意見を募集し、今夏からの施行を目指す。投資家保護を目的とする規制強化だが、賛否が分かれ、保護対象になるはずの投資家から反対の声もあがっている。

 金融庁が規制に踏み切るのは、高いレバレッジ取引を提供する業者が増えているためだ。FX業者は約120社あり、半数以上が100倍以上のレバレッジを提供。600倍の取引を提供する会社もあるという。株の信用取引の証拠金倍率は約3倍、商品先物取引は10~20倍程度に規制されており、FX取引の倍率の高さが際立っている。

 このため、同庁は先月末、約1年間の猶予期間を経てFX取引のレバレッジ上限を1年間は50倍、2年目以降は25倍とする規制案を公表した。100万円の取引をする場合、取引に必要な証拠金は50倍だとわずか2万円だが、25倍だと4万円が必要。レバレッジ倍率が高いと、少額の投資で大きな取引が可能となる半面、予想と逆の相場展開になった場合、わずかな値動きでも証拠金を全額失う。さらに、追加証拠金が必要になるなど損失拡大のリスクも大きい。

 規制案に対し、日本弁護士連合会は、規制を支持する意見書を公表。「高レバレッジ取引は、賭博性が高い。公的な規制整備はやむを得ない」と提言した。一方、投資家の一部からは反対の声があがっている。多額の損失を被るリスクはなくなるが、少額の投資で多額の利益を得るチャンスもなくなるためだ。調査会社の矢野経済研究所が規制案の反応を調べたところ、「自己責任でいい。規制はおかしい」といった声が2000件以上寄せられた。

 金融庁は、「わずかな値動きで証拠金が全額失われるような取引は異常。最低限の秩序が必要だ」(市場課)と話している。【井出晋平】

毎日新聞 2009年6月12日 東京朝刊

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