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イー・マーケティング社長ら逮捕 未公開株巡る詐欺容疑

2009年6月10日

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 「必ず上場する」とうそを言い、市場調査会社「イー・マーケティング」(東京都港区)の未公開株を販売したとして、兵庫県警は10日、イー社社長の臼井弘文容疑者(53)=東京都大田区田園調布3丁目=ら6人を詐欺容疑で逮捕したと発表した。イー社は富裕層向けの情報誌などを発行するビジネスを展開しており、県警は、6人がこうした富裕層や資産を持つ高齢者ら約1千人に同様の手口でイー社株を売り、計約22億円を得ていたとみている。臼井社長は「身に覚えがない」と容疑を否認しているという。

 兵庫県警は同日午前、港区南青山1丁目にあるイー社の社屋や臼井社長の自宅なども捜索している。

 暴力団対策課によると、臼井社長ら6人は07年5月、同県加古川市の80代男性にイー社の未公開株購入を持ちかけた際、「今年中に必ず上場するので確実に値上がりする」とうそを言い、2株の代金56万円をだまし取った疑いが持たれている。同課はイー社が上場する予定はなかったとみている。

 ほかに逮捕されたのは、株式売買を目的に設立された会社「SII」(本社・東京、解散)の元役員小菅孝吉(71)=同江戸川区▽元同社社員道向(みち・むこ)初美(54)=同台東区▽コンサルタント会社役員鷲尾掌作(61)=同豊島区▽証券会社役員木村権一(57)=同港区▽会社員田村貴男(33)=千葉県船橋市――の各容疑者。鷲尾容疑者も容疑を否認しているという。

 捜査関係者によると、臼井社長が運転資金を工面するため、鷲尾容疑者にイー社株の販売を依頼。鷲尾容疑者は株取引仲間だった木村、田村両容疑者と相談し、小菅容疑者の会社を通じてイー社株を売ることになったという。

 小菅容疑者から販売を指示された道向容疑者が加古川市の男性に対し、「イー社内に株式公開準備室が設けられている」と虚偽の説明をしたうえで、「上場に向けて全力で取り組んでいる」などと話していたという。

 県警は昨年10月、兵庫県や愛知県など4県の高齢者に造船会社など非上場企業5社の未公開株を無登録販売したとして、小菅容疑者を金融商品取引法違反容疑で逮捕。この捜査の過程で、小菅容疑者らがイー社を含む複数の会社の未公開株販売を手がけ、計約150億円を得ていたことが判明。小菅容疑者が役員だったSIIはほぼ毎月、山口組系の暴力団幹部の口座に20万〜30万円を振り込んでいたといい、県警は違法な利益の一部が暴力団の資金源になっていた疑いもあるとみている。

 法人登記簿などによると、イー社は99年10月、情報処理サービスや広告代理業などを目的として設立。富裕層を対象にした雑誌や情報提供事業を展開しており、資本金は約4億3千万円。臼井社長は著書「ニュー・リッチの王国」を出版し、ベストセラーとなった。しかし、04年以降は資金繰りに行き詰まり、今年3月にはイー社株を複数のブローカーに売って得た約2億5千万円の所得を申告せず、約3500万円を脱税したとして、東京国税局から所得税法違反容疑で告発されたことが表面化した。

   ◇

 未公開株 株式公開(上場)していなかった会社が新規上場した際に、株価が公募価格を大きく上回ることが多く、個人投資家の間では人気が高い。ただ、大部分の未公開株には譲渡制限が付いており、発行会社の取締役会で承認されない限り名義変更できず、販売も原則として株を発行した会社や登録を受けた証券会社しか許されていない。最近は、無登録の業者が架空の上場話などを持ちかけ購入を勧める例が横行し、トラブルが急増。国民生活センターによると、未公開株についての相談は03年度は158件だったが、05年度に2980件、06年度には4065件でピークを迎えた。08年度も2947件にのぼる。

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