最終更新: 2009/06/11 04:11

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絶対に断らない救急医療「沖縄ER」の要となっている研修医の現実に迫りました。

絶対に断らない救急医療「沖縄ER」の要となっている研修医の現実に迫りました。
絶対に断らない救急医療「ER」を実現するうえで、要となっている研修医の現実に迫りました。

沖縄県立中部病院の研修医(3年目)、島袋 彰医師(28)。
2年間の初期研修を終え、3年目に入った島袋医師には、後輩の指導という役割が課せられている。
心臓の動きが不安定な患者に、電気ショックを行う2年目の研修医。
これを研修3年目の島袋医師がサポートし、5年目の大久保 雅史医師が全体を管理する。
これは、「屋根瓦方式」と呼ばれる、中部病院伝統の研修スタイル。
島袋医師は「子どもから大人まで、しかもさまざま科を超えて診ないといけないので、結構タフですけど、やりがいは十分ありますね」と話した。
午前0時すぎ、中部病院ERの待合室は、順番を待つ患者で埋まっていた。
この春、ドクターになった研修1年目の豊田康祐医師が、初めてERの診察を担当。
マンツーマンの指導役は、島袋医師。
熱を出して機嫌の悪い子どもに、豊田医師はいきなり苦戦し、耳の中の状態を確認するのもままならない。
一方、一瞬で状態を見極める島袋医師。2年のキャリアの差は、かなり大きい。
救急隊から「48歳女性の方です。『オーバードーズ』疑いです。あと1〜2分で着きます」という連絡が入った。
オーバードーズとは、薬物を過剰摂取した患者のことを指し、自殺を図った場合も多く、注意が必要なケース。
ただし、この患者は、何度も救急車を呼びつけている常連だった。
それでも必ず受け入れるのが、ERの流儀。
こうしている間にも、40度の熱を出した子どもが診察を待っている。
島袋医師に「寝る、食べる、機嫌、この3つが大丈夫な子は元気な子だから」とアドバイスを受ける豊田医師。
先輩研修医のアドバイスをしっかり実行する豊田医師だったが、泣き出す子どもに苦戦していた。
経験の浅い研修医の診察を受けることについて、地域住民はどう感じているのか。
患者の父親は「沖縄の医療のために勉強になるのであれば、全然いいと思いますけどね」と話した。
中部病院のERでは、研修医たちが基本的に診察を行うが、内容はすべてベテランの指導医がチェックすることで、安全性とクオリティを確保しているという。
田中 斉・ER指導医は「勉強というのは、患者さん1人ひとりで経験しているという病院ですから。その数に圧倒されるという研修医もいますけどね」と話した。
中部病院の研修医は、原則的に敷地内の寮に入ることになっている。
給料は月額30万円、ほかの病院の当直アルバイトなどは一切禁止され、研修漬けの2年間を送る。
豊田医師は「この患者さんを帰していいのか、帰しちゃいけないのかという判断を、僕たちがまず迫られるような状態で」、「大変な現場だなと、すごく痛感していますね」と話した。
専門分野だけでなく、総合的に対応できる一般専門医を育てるため、中部病院は、すべての診療科をローテーションする研修方式をとり、800人を超える医師を送り出してきた。
患者数が多いERは、短期間でさまざまな症例を経験できる絶好の場になっているという。
真栄城 優夫・元院長は「研修医がいなければ、ERはずっと維持することはできません」、「毎年、同じ人がやったらつぶれますよ、完全に。そういう教育の場としてERを使わないと」と話した。
夜が明けたERに、また1人の患者が搬送されてきた。
激しくけいれんする患者の処置にあたる豊田医師。
徹底した現場主義の中部病院では、1年目の研修医に、年間1,000件を越える症例を経験させる。
豊田医師は「なかなか時間が要求される場所なので、患者さんと時間を持って接するというのは、なかなかできないんですけど、やりがいはあるところだなと思います」と話した。
当直は月8回以上、中部病院の研修は極めて厳しいのも現実。
その毎日に耐えることができる理由について、島袋医師は「誤解を恐れずに簡単に答えると、やっぱり充実して楽しいからだと思います。正直なところ」と話した。
人手不足から、崩壊の危機にある日本の救急医療。
研修医を中心にしたER式救急は、1つの答えなのかもしれない。

(06/11 00:19)


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