2009年6月10日23時26分
最高検の謝罪後、憤りを語る佐藤博史弁護士(右)の隣で、疲れのにじんだ表情を見せる菅家利和さん=10日午後、東京・霞が関、川村直子撮影
「17年半も身柄を拘束されたんですよ。そんな簡単に許せる問題じゃないですよ」。菅家利和さん(62)は10日夜の記者会見で、「足利事件」で同日に検察側が表明した異例の「謝罪」にも納得いかない様子で声を震わせた。
菅家さんによると、謝罪について検察からは何の連絡もないという。数カ月の再審手続きで「無罪」へと転換しようとする検察側の姿勢に「とんでもない話だ」と怒りをあらわにした。
92年に福岡県飯塚市で女児2人が殺害された「飯塚事件」も足利事件と同じように旧来のDNA型鑑定で有罪とされた。弁護団は、死刑が執行された飯塚事件の久間三千年(くま・みちとし)元死刑囚の弁護団との連携を深める方針だ。久間元死刑囚の執行を刑務所で知ったという菅家さんは「飯塚事件と足利事件はそっくりだ。人の命は地球より重い。無実かもしれない人間を直ちに執行することは許されない」と語気を強めた。