欧州・ロシア

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ロシア:ベラルーシの乳製品禁輸 欧州接近の警戒強める

 【モスクワ大前仁】ロシア政府は隣国ベラルーシからの一部輸入品に対する禁輸措置を決めたほか、同国が求めていた金融支援を断るなど、これまで親露政策を敷いてきたベラルーシ政権とのあつれきが顕著になっている。背景には同国の独裁者ルカシェンコ大統領が、欧州諸国へ接近していることに対して、ロシア側が警戒を強めていることがある。

 ロシアの衛生監督局は9日までに、ベラルーシの主要輸出品である乳製品約600品目が衛生上の基準を満たしていないとして、輸入禁止を決めた。同局は文書の不備などを理由にしているが、政治的な思惑で制裁に踏み切ったとの見方が広がっている。

 両国の対立は、ロシアが先月末にベラルーシから要請を受けていた5億ドル(約490億円)の融資について、同国の財政上の問題を理由にして、断ったことが発火点となった。

 ルカシェンコ大統領は「ロシアには泣きつかない」と述べ、ロシアのクドリン副首相兼財務相について「我々のならず者(=野党)と相談しながら、我々を指導しようとしている」と批判。これに対して、ロシアのメドベージェフ大統領は「他国の指導部に対する個人的な発言は許されないものだ」と怒りをあらわにした。

 両国は90年代から国家連合の創設を検討するなど、良好な関係を基本としてきた。しかし経済基盤が脆弱(ぜいじゃく)なベラルーシは最近になり、経済支援を視野に入れながら、欧州諸国への歩み寄りの姿勢を見せている。先月上旬には欧州連合(EU)が旧ソ連6カ国との関係強化を狙った外交的な枠組みである「東方パートナーシップ」に参加した。

 一方、ロシアは同パートナーシップについて「ロシアに対抗する枠組みになる恐れがある」(メドベージェフ大統領)と反発。ベラルーシがロシアと対立するウクライナやグルジアと同じ枠組みに参加したことに不快感を抱いている。

毎日新聞 2009年6月9日 22時19分

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