【モスクワ大前仁】ロシアのプーチン首相は9日、世界貿易機関(WTO)への加盟交渉をロシア、ベラルーシ、カザフスタンの旧ソ連3カ国一体による新たな関税同盟として行うと述べた。これまで進めてきた個別の加盟交渉は停止するという。
ロシアは94年にWTO加盟を申請したが、欧米などの承認を得られておらず、しびれを切らして“くせ玉”を西側諸国に投げつけた格好だ。
ロシアのメドベージェフ大統領も9日に「交渉が停滞しており、近年は約束が繰り返されるだけの場になっている」といら立ちを隠さなかった。
露、カザフ、ベラルーシ3カ国の首相が9日にモスクワで協議を開き、関税同盟を来年1月に発足することで合意した。さらに関税同盟としてWTOへの加盟申請を行う。ただ、WTO加盟交渉は、加盟諸国との2カ国交渉を妥結させなければならず、ロシア側の路線変更をWTO側が認めるかは不透明だ。
ロシアのクドリン副首相兼財務相によると、3カ国は早ければ、来年1月からWTOとの交渉に臨む方針だ。
また3カ国とタジキスタン、キルギスで結成する「ユーラシア経済共同体」は9日、経済危機に対応するための共同基金を設置することで合意した。
毎日新聞 2009年6月9日 23時43分(最終更新 6月10日 1時19分)