福岡市立こども病院・感染症センター(中央区)移転問題で、市は8日、業務委託を予定していた「医療関連サービス」など複数の分野を、PFI(民間資本などを活用した公共施設整備)の対象から外す方向で検討していることを明らかにした。対象業務を精査するため、市は6月議会への関連議案の提案を見送るが、14年3月の開業予定に影響はないとしている。
新病院の運営を巡っては昨年12月、市がPFIの導入を盛り込んだ「基本構想」を発表。今年3月、事業者の選定方法を公表し、4月には「企業向け説明会」も実施済み。6月議会の可決を経て、同月中の入札公告を目指していたが、併せて先送りされた。
市保健福祉局は見直し理由について、(1)景気の悪化(2)先行してPFIを導入した自治体病院の失敗例に懸念の声がある--などと説明。吉田宏市長は会見で「5月時点で総合的に判断した。先行事例も含めて研究を進めた結果」と述べた。
市が当初想定したのは、病院建設や管理・運営に関する広い業務について民間に一括委託する案。医療事務を含む「医療関連サービス」なども対象としていたが、(1)2年ごとに改訂される診療報酬への対応が難しい(2)収支が計画通りでなかった場合の対処が困難--との理由から、対象から外れる可能性が高いという。【鈴木美穂】
〔福岡都市圏版〕
毎日新聞 2009年6月9日 地方版