2009年6月8日11時28分
4日の決勝ラウンドで演奏する辻井伸行さん=米テキサス州フォートワース、バン・クライバーン財団提供
米テキサス州で7日、バン・クライバーン国際ピアノコンクールで優勝し、写真撮影に応じる辻井伸行さん(中央)=AP
〈バン・クライバーン国際ピアノコンクール〉 冷戦時代にソ連のコンクールで優勝し、後に米国の文化使節として活躍したピアニスト、バン・クライバーンの名を冠した国際コンクール。62年の創設以来、おおむね4年おきに開かれてきた。優勝賞金は2万ドル。3年間のコンサートツアーやCD録音の権利も得られるなど、他のコンクールに比べて受賞後の支援が手厚いことで知られる。日本人の優勝者は辻井さんが初めて。
■聴音感覚、ずば抜けていた
辻井さんを小学校1年から高校卒業まで12年間指導した東京音大講師の川上昌裕さんの話 昔から聴音感覚がずば抜けていた。運動神経もよく、名人芸的な高い技巧を持ちながらてらわず、その音は純粋で真っ白いイメージ。ハンディを全く感じさせず次から次へと難しい課題に挑戦し、どこまでも頑張る姿に時々驚かされた。大舞台でも安定しており、力を出し切るタイプ。難関で知られる今コンクールで評価されたことは素晴らしい。決勝に進んだと電話をもらったが、優勝と聞いてこれまでやってきたことが間違いなかったのだと安堵(あんど)感を覚えている。
■驚き以上の感動伝える
上野学園大で辻井さんを指導する横山幸雄教授の話 全盲の彼が見事な演奏をすることに驚く人も多いが、彼は驚き以上の感動を伝えるために勉強を重ねてきた。一線で活動できる演奏家を求めるこのコンクールで優勝したことで、彼がひとりの演奏家としてお墨付きを得たことはとてもうれしい。目が見えないことは一生ついて回るが、そのこととは関係なく、彼の演奏を聴きたいと思う人が増えていってほしい。