2009年6月7日23時48分
タムスク陣地跡に残る建物=モンゴル東部タムサグブラグ、筋野写す
第2次大戦中、モンゴル東部に旧ソ連軍が建設した巨大陣地の概要が、日本、中国、モンゴルの調査団の調査で明らかになった。東京・山手線の内側より広い約70平方キロメートルに及ぶ広大な陣地は旧ソ連軍が1945年8月に対日参戦した際の出撃拠点の一つだったとみられる。モンゴル国境で日ソが武力衝突した「ノモンハン事件」から70年を迎えたのを機に、記者が現地を訪れた。
陣地は中国国境から約40キロ離れた「タムスク」の元飛行場付近にあり、東西13キロ、南北10キロの多角形。多数の物資貯蔵庫や砲台跡があり、外周約39キロを対戦車壕(ごう)が囲んでいる。壕は幅8メートルあり、南には湿地帯を挟んで長さ約19キロの別の壕も造られていた。
陣地内にも、戦車や砲を収納したとみられる壕が多数掘られ、鉄道が引き込まれた跡があった。司令部や兵舎とみられる建造物が6棟確認された。付近には二つの飛行場跡もあった。壕からソ連軍が40年代前半に使っていた航空機の部品が見つかり、鉄道跡付近には40年製のソ連製銃弾の薬莢(やっきょう)もあった。
モンゴル軍当局は「陣地にかんする資料はモンゴルには残っていない」としている。(永井靖二)
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