2009年6月7日12時1分
柴崎芳太郎らの測量隊が剱岳(写真左)の周辺で測量をする場面 (C)2009「劔岳 点の記」製作委員会
明治時代に使われた「三等経緯儀」で柴崎芳太郎役の浅野忠信(左)が測量をする場面 (C)2009「劔岳 点の記」製作委員会
柴崎芳太郎=柴崎家提供
20日に全国公開される映画「劔岳(つるぎだけ) 点の記」(木村大作監督)に、測量業界が熱いエールを送っている。映画は明治期に「日本地図最後の空白地点」を埋めるため、当時未踏峰とされた北アルプス・剱岳に測量官らが挑む物語。「おくりびと」で納棺師が脚光を浴びたように、映画で測量士が注目されればと期待しているのだ。背景には、深刻な人材不足や業界の激変がある。
測量技術者でつくる日本測量協会は、富山県で本格的なロケが始まった07年夏以降に、ホームページに出演者らのインタビューを掲載。PRを続けている。協会の月刊誌「測量」も毎号、特集を組む。今年1月からは表紙に浅野忠信、香川照之、宮ざき(ざき=やまへんに立つ崎)あおいらを登場させてきた。
関係業界や官公庁も熱い視線を送る。国土地理院刊行の地図などを販売する日本地図センターは、3日の「測量の日」に合わせて東京・新宿のイベントで映画の割引券やパンフレットを配布した。
製作委員会の東映によると、日本土木工業協会や日本土地家屋調査士会連合会なども、ポスターやチラシを会員向けに配ったり、会報で映画を紹介したりしている。日本不動産鑑定協会も「不動産業界と地図のかかわりは深い」と、47都道府県の全支部組織にポスターなどを送った。
盛り上がりの背景には、測量業界の危機感がある。
月刊誌「測量」の浦郷武夫さんは「映画は、測量業界をPRする千載一遇のチャンス」と言う。「3K」のイメージがある土木・測量業界は、バブル崩壊のころから人材不足に頭を痛めてきたからだ。「優秀な人材を得るにはPRが必要で、映画は大きな力を持つと思う」