2009年6月7日10時5分
鳩山民主党も、そんな河村氏を放っておかない。民主党系候補が勝利した5月のさいたま市長選や、今月14日投開票の千葉市長選応援にも入った。総選挙の同党候補の応援に入ることも約束済みだ。
名古屋での「政権交代」を全国に広げたい――。そうもくろむ鳩山氏は4日、記者団に「河村市長、よくやっている。官僚機構と戦う姿は、大いに評価をすべきだ。地域の戦いと、衆院選の戦い。応援して頂けるのは非常に心強い」と語り、「河村効果」への期待を隠さなかった。
■公約実現には厚い壁
河村氏は世論の支持を背景に「今年中に実現」「6月議会に」と期限を公言し、打開を図る。だが、公約実現への壁は厚そうだ。
まず直面するのは、市議会との「ねじれ」だ。公約の多くは市議会の議決が必要なのに、議会はほとんど「オール野党」状態。民主党本部が愛知県連の方針を覆して河村氏を擁立した経緯から、同党市議団も「是々非々」の立場をとっているからだ。
市職員の協力も不可欠だが、河村氏が就任当日に「市民税10%減税、絶対にやってもらわないかん」とハッパをかけても担当副市長が条例提出を渋るなど、職員の反応は冷たい。河村氏が根回しなしにメディアの前で突然政策を発表する手法への反発も強い。
財源の手当てが不明確だとの批判もつきまとう。河村氏が看板に掲げる市民税10%減税による減収額は推計250億円。河村氏は「ムダ遣いを省けばいくらでも財源は出てくる」と主張するが、「ムダ」のありかは明確ではない。
威勢よく打ち上げたものの、竜頭蛇尾と受け取られるようなケースが早くも出始めた。河村氏は、退職勧告に応じた天下り市特別職OBの後任に市局長OBを起用する人事を認めた。天下りの穴埋めも天下り――。「特別職の4人は別格だ」と釈明するが、歯切れは悪い。