2009年6月7日10時5分
4月の名古屋市長選で「庶民革命・脱官僚」「市民減税」を掲げて圧勝した河村たかし市長(60)が大胆な指示を繰り出している。鳩山民主党も「政権交代の先行モデル」とみて、総選挙へのプラス効果に期待する。議会や職員の強い抵抗を乗り越え、成果をあげられるか。
■天下り根絶・ムダ減らし 看板政策は共通
「国で社会保障の問題をいろいろ言っているが、こちらの方がいい。(名古屋は)民主主義発祥の地だで」
河村市長は5日、公表した地域委員会計画の1次案を記者団にこうアピールした。選挙で選ばれた委員が、市内各地域で各1億円程度の予算の使い道を決めるという「河村マニフェスト」の目玉のひとつ。予算づくりを市民に委ねる試みだ。
民主党の衆院議員から転身した河村市長が矢継ぎ早に繰り出した政策は、民主党の看板政策とよく似ている。
まず、「天下り根絶」だ。5月7日、突然、外郭団体に天下っている市特別職OB4人に退職を勧告した。「ようけ給料もらってみえますし、市の退職金もすでにもらっている」。4人は勧告に応じることになった。
「ムダ減らし」も打ち上げた。岐阜県の徳山ダムから水を引く総額890億円の木曽川水系連絡導水路事業に目をつけ、同15日に「水余りで不要」として市負担金の支払いの凍結を宣言した。
地域委も、鳩山代表が5月27日の党首討論で「友愛社会」の具体例として挙げたボランティア活用に沿う。河村氏は「現場に近い方にお金が下りてきて、あとは住民が決める。今までの世の中と百八十度違う」と強調した。
河村氏の武器はテレビ出演で培った知名度と、市長選で獲得した「51万票」だ。自民党市議は「少しでも文句をつけようものなら市民からの抗議が殺到する」とぼやく。