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天安門事件から20年 遺族は外出禁止、追悼抑え込む

2009年6月5日0時33分

写真:天安門事件の追悼集会が開かれた4日夜のビクトリア公園は、ろうそくを手にした市民で埋め尽くされた=香港、奥寺淳撮影天安門事件の追悼集会が開かれた4日夜のビクトリア公園は、ろうそくを手にした市民で埋め尽くされた=香港、奥寺淳撮影

 【北京=坂尻顕吾】天安門事件から20年を迎えた4日、中国当局は民主活動家や犠牲者遺族に外出禁止を命じ、追悼活動を抑え込んだ。遺族でつくる「天安門の母」発起人の一人、丁子霖さん(72)も外出を阻まれ、当時17歳だった高校生の息子を死亡現場で悼むことができなかった。

 丁さんは07年から、命日である6月3日深夜に現場で追悼式を挙げることが許されるようになった。だが、今年は姿を見せなかった。丁さんと親しい民主活動家(60)は「3日から公安当局の監視と圧力が厳しくなり、外にごみを出すことさえできない」と語った。

 丁さんの息子、蒋捷連さんは当時、連日のようにデモに参加。3日深夜、天安門広場の西約5キロで、戒厳部隊に撃たれて死亡した。29年の共産党員歴のあった丁さんは当初、「これは党内の一部がやったこと。過ちを認めるはず」。だが事件の見直しはなく、期待は裏切られた。

 90年代初めから独自の「殉難者名簿」づくりに乗り出す。勤務先の中国人民大学は夫の蒋培坤さん(75)とともに追われ、公安当局の監視下に置かれた。生活必需品は指定された商店で買うことを求められ、自由な外出も許されない。

 当局の姿勢はかたくなだ。中国外務省の秦剛副報道局長は4日の定例会見で「前世紀の80年代末に中国で発生した『政治風波』とそれに関連する問題は、すでに党と政府が明確な結論を出している」と語った。

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