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最終更新:2009年6月4日(木) 20時54分

都立高校の元校長、教育委を訴え

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 生徒からも慕われていた都立高校の元校長が4日、ひとりで都の教育委員会を訴えました。その理由は?

 東京都立三鷹高校の校長だった土肥信雄さん。生徒に慕われながら、今年3月末に定年退職を迎えたばかりです。

 その土肥さんが4日、東京都の教育委員会を相手取り、裁判を起こしました。

 「私が正しいのか、東京都の教育委員会が正しいのか、きちっと判断をしもらいたい」(土肥信雄さん)

 事の発端は、2006年に都教委が出したこの通知でした。

 「職員会議で教職員に挙手・採決などをさせてはならない」

 都教委は通知について、こう話します。

 「学校運営については職員会議での採決によってではなく、校長が決定する。通知は校長の決定が職員会議で覆らないようにするためのもの」

 しかし、土肥さんは通知によって教育現場から議論が消えたと訴えます。

 「言っても意見が反映されなければ、人間誰しも言わなくなる。“適当にやっていればいいんだ”と。適当に何年間か勤めて、そういう空気がまん延するのが一番怖い」(土肥信雄さん)

 子どもたちのためにも自由な議論ができる学校に戻したい。校長会などでたった1人、通知の撤回を求め続けた土肥さん。定年退職後も学校現場に残りたいと去年暮れ、非常勤職員の採用試験を受けました。

 しかし、受験者のうち97%が合格したにもかかわらず、土肥さんは不採用でした。土肥さんは、その理由を明らかにするために裁判を起こしたのです。

 保護者らが都立高校200校の教員たちに行ったアンケートによると、8割が「職員会議で自由に発言しにくくなった」と答えています。「何を言っても無駄」
 「言われたことをやればいいんだという空気」(アンケートの回答)

 「論議する教師が減った。“思っていることを発言すると(上司に)目をつけられる”と考える人増えている」(都立高教師【教師歴15年】)

 一方、都教委が三鷹高校を除くすべての都立高校の校長らに聞き取りを行ったところ、通知は学校現場の言論の自由に影響を与えたという答えは1件もありませんでした。

 3月末、定年退職の日に全卒業生から土肥さんへ贈られた卒業証書。

 「意見はいろいろあっていいんですよ。お互いに議論することで間違いを是正していって、より高いレベルの教育活動が、僕は行われると思っている」(土肥信雄さん)

 土肥さんは裁判を通し、教育現場のあり方についての議論が高まればと話しています。

 こうした中、東京都の教育委員会は「訴状を見ていないのでコメントは差し控えます。非常勤教員の採用については適正に行っています」としています。(04日19:23)



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