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おなかの脂肪から神経細胞 京大、動物実験で成功

2009年6月6日15時1分

写真:脂肪由来の幹細胞からできた神経細胞(赤と緑が重なっている細胞)=中田顕研修員提供脂肪由来の幹細胞からできた神経細胞(赤と緑が重なっている細胞)=中田顕研修員提供

 おなかの脂肪から取り出した幹細胞を脳の中に入れて神経細胞を作り出すことに、京都大学再生医科学研究所の中村達雄准教授らが動物実験で成功した。脂肪の利用は負担が少ないため、将来、脳梗塞(こうそく)や脳腫瘍(しゅよう)の患者への再生医療の足がかりにしたいという。スイスの専門誌に発表する。

 脂肪の中には、体のさまざまな組織の細胞になりうる幹細胞が含まれていることが知られている。幹細胞そのままでは移植に使えないが、幹細胞を取り出してスポンジなどの「足場」にしみこませたものを、傷ついた組織に移植、再生をめざす研究が世界中で進んでいる。

 研究チームの中田顕研修員は、ラットのおなかの脂肪から幹細胞を取り出し、コラーゲンでできた数ミリ角のスポンジにしみこませた。幹細胞を大量にしみこませるために、3日間、幹細胞を培養しながら、スポンジを回転させ続ける工夫をした。このスポンジをラットの脳の中にあけた穴に移植した。

 1カ月後、幹細胞から神経細胞ができたことが確認できた。今後、この神経細胞が回路を作るか、ほかの種類の細胞が増えていないか、長期間、調べる。チームは、脳腫瘍の手術後や脳梗塞などで欠けた部分を補う治療法につなげる一歩にしたいという。(小林正典、瀬川茂子)

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