県が進めようとしている県立病院改革の基本方針案について、野呂昭彦知事は5日の定例会見で、「今後の継続的な地域医療の確保の保証ということになると、まだ方針案の段階だから、具体的に詰めているわけではない」として、現時点では地域住民に不安や反対意見が多いことに理解を示した。その上で、住民理解を得るために「具体的な提案をするための方策を検討したい」と述べ、基本方針決定に向けて強い意欲を示した。【田中功一】
基本方針案では、一志病院(津市)の民間委譲や志摩病院(志摩市)の指定管理者制度導入など、県立の4病院について、今後の運営方針を示している。
しかし、5月下旬に志摩、津両市で行った住民説明や県民から寄せられた937件の意見では、今後の地域医療確保に対する不安や方針案への反対の声が圧倒的に多かった。
これに対し、野呂知事は「(民間委譲や指定管理の委託先など)相手と話を詰めていく中で保証は得られる」と説明。具体的な提案ができるようになった段階で、再度住民説明会を開催するなどして病院改革への理解を求める考えを明らかにした。
その中で、「全国的にみても病院改革は避けて通れない問題」、「一志病院の民営化の撤回などを前提に考えていない」などと述べ、基本方針案に沿った改革実現を目指す姿勢を強調した。
〔三重版〕
毎日新聞 2009年6月6日 地方版