『いっしょにとれーにんぐ』はこうして生まれた!
PRIMASTEA・中川宗成氏インタビュー

2009年4月。アニメファンがそれまで誰も話題にしていなかった、とあるアニメがインターネットで大きく話題になりました。その名も

いっしょにとれーにんぐ

これはDVDを再生するとテレビの中の美少女・ひなこが話しかけてきて、腕立て伏せや腹筋、スクワットといった筋トレをいっしょにしてくれるという萌え好きにはたまらないブートキャンプなのである! この画期的なアイディアの仕掛け人である企画・脚本・プロデュースを担当したPRIMASTEAの代表・中川宗成氏にインタビューしてみました!

■『いっしょにとれーにんぐ』制作秘話
–『いっしょにとれーにんぐ』の大ヒットおめでとうございます! この反応は予想できましたか?

main.jpgありがとうございます。うちとしては赤字にならなければいいなって程度だったんですが、予想以上の数が出ました。ただ単価が安いので、黒字ではあるんですけど、それほど儲かってはいないんです。僕は食玩とかコンビニの廉価版DVDだとついつい買ってしまう性格なので、できるだけ安くしようって決めて、あの値段設定(2100円)にしたんです。特典映像でもいろいろつけていますので、ネタとして楽しんでもらえたら十分かなと思ってました。

–十分以上に楽しんでいます! この、アニメの女の子と一緒にトレーニングするという画期的なアイデアはどうやって生まれたんでしょうか?

元々アニメの製作会社に勤めていた時に立てたアイデアが元になってるんです。そこを退社する際に、自分の企画として動く了承をいただいたんですが、その後しばらくは自宅を警備していたんですよ。

–優秀な警備員だったんですか?(笑)

ええもう、テレビを2つつけっぱなしにしていて、映るアニメは全部キャッチしてましたよ(笑)。それでアニメを観ながらふと、画面に写っている女の子と交流したいなぁと思いまして。それを強く思ったのが深夜の美少女系アニメを観ている時に、主人公がどっちつかずというか消極的なのに女の子達にモテるのが納得できなかったんです。そういうヘタレた主人公にヒロインを全員かっさらわれるのってどうなの? って思うとイライラしてきました(笑)。普通はヒロインと男主人公の様子を画面越しに観ているわけですけど、どうせなら男をとっぱらって、ダイレクトに僕が女の子と繋がりたいと。

–しかしそれは、視聴者が感情移入するための入り口として個性を出さない主人公にしていると思うんですよ。

その力学はわかるんですけど、そこをあえて、ちょっと(主人公を)脇にどかして……(笑)。
あとはコンテンツ的に成り立たせるにはどうすればいいのだろうと考えて、主人公がダイレクトに「自分」というのは、ゲームでしたら昔からパイオニアLDCさんの『NOeL(ノエル)』とか恋愛シュミレーションゲームもありますけど、あれもコントローラーで操作して、その結果、反応が返ってくると思うのも僕には醒める一因だったんです。DVDを入れてスイッチを押せば、途中何にもしないのに勝手に動いて反応してくれてるっていうのが欲しかったんですよ。
本当はゲームの方がインタラクティブなんですけど、僕としては、何もしないのに女の子と目が合ったりする方が、むしろインタラクティブに感じたんです。

–確かに、実際の女の子と向かい合うとそうですよね。

hinako1.jpgさらに企画を立てていた時に『らき☆すた』のCMで、泉 こなたが画面から超どアップで「う~」って言ってるのがあったじゃないですか。あの時に、僕の好きなこなたと目が合って「ドキッ」とした時、自分のやってることもありかなあと思いました。

–こなたに自信をもらったんですね(笑)。それでトレーニングという題材にした理由は『ビリーズブートキャンプ』から来たのかと思ったんですが、違いますか?

hinako2.jpg自宅警備をしているとお腹に肉が溜まるんで、有名な人気フィットネスゲームを買ったんですがモチベーションが続かないんですよ。運動させてくれるのがアニメの女の子だったらいいなぁと単純に思ったのが一つと、トレーニングに付き合うモチベーションをさらに強化するには、この子が痩せなきゃいけないからあなたも付き合ってっていうようなストーリーを入れた方が続くかなと。

–なるほど。ストーリー的に気になるのは「実際の女の子がアニメキャラになってしまった」っていうおかしい設定なんですが(笑)。

それは、ひなこが画面の中に存在すると本当に思ってほしいからです。実写パートでテレビにひなこが吸い込まれているシーンはハリウッド級のCG合成で表現したいくらいです(笑)。シチュエーションとしては『電影少女(ビデオガール)』の逆パターンですね。

■好きなアニメは『苺ましまろ』と『ブラックラグーン』

–話は変わりまして、アニメ会社に勤められていたそうですが、それ以前はどういうご経歴なんでしょう?

大学を卒業してから広告代理店に入社して、その時知り合った仲間と広告企画会社を作ったんですが、僕は芝居に目覚めちゃって、30前後の3年間くらい役者をやってたんですよ。

–役者のご経験があるとは珍しいですね、昔からアニメは観てらっしゃったんですか?

いえ、それこそジブリ映画とか小さい頃に『銀河鉄道999』や『機動戦士ガンダム』を観ていたくらいで。
でも、高校の時に『魔動王グランゾート』や『魔神英雄伝ワタル』が夕方からオンエアしていて、それにハマってしまい、早く帰宅すべく高校から自転車を必死でこいでいた思い出はありますね。でも、それからはほとんどアニメは観ていませんでした。

–それなのに、アニメ業界に入るようになったのはどういう経緯からなんですか?

hinako3.jpg舞台役者をやめた後に入社したコンテンツ製作会社で、たまたまアニメ担当になったんです。仕事柄知識をつけるためにアニメを観ているうちに、元々の素質があったのかハマっちゃって(笑)。それからは、色々と観るようになりました。最近では『DARKER THAN BLACK』や『BACCANO!』も本当に面白いアニメでしたし、『みなみけ』も絶妙な「間」と女の子がすごく可愛らしくて好きです。

–御社のWebサイトの会社概要のところに「好きなアニメ」って項目が唐突に書かれていて驚いたんですが(笑)。

金銭的にも時間的にも会社のホームページまで手が回せなくてああいうシンプルな作りになっているんですが、あまり無機質なだけだとエンターテイメント会社としては無愛想すぎると思って、でも綺麗事を並べてスベってもしょうがないので、やっぱり正直なことを書こうと思った結果が『苺ましまろ』と『ブラックラグーン』だったんです。

■次回作はメジャーアニメの映像特典で!?

–今後の展開もやはりアニメ関係でしょうか?

はい。僕にはやりたい企画がいくつかありまして、そのうちのひとつがこれだったんですが、ちょっと最初から飛び道具的な所もありましたんで(笑)、2番目は正統派で行こうと思います。競馬の馬券転がしみたいに、儲かった利益を次に突っ込むつもりなので、どこかでコケたらそこで終わって業界から消えてしまう可能性はありますが(笑)。

–(笑)。『いっしょにとれーにんぐ』の続編はあるんでしょうか?

hinako4.jpgその2番目の企画を全力でやりたい気持ちもありますが、『いっしょにとれーにんぐ』が順調に売れて次回作の要望も強ければ、続編製作もあるかもしれません。その場合、ひなこでそのまま行くっていう案も当然ありますけど、そうじゃなかったら……宮藤芳佳ちゃんを起用して、『ストライクウィッチーズ』の第2期の特典映像でつけてもらうとか……冗談です(笑)。

–『ストライクウィッチーズ』のヒロインたちとトレーニングするのも観てみたいんですが(笑)、ひなこも非常に可愛いと思いますので、いちファンとして続編を希望します! 本日はありがとうございました。

関連リンク
いっしょにとれーにんぐ - PRIMASTEA

記事:アニメの女の子と筋トレできるDVD『いっしょにとれーにんぐ』4月24日発売!

取材・構成:かーず(かーずSP

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