医療経営情報紙 Japan Medicine じほうホームページへ

  ▼ トップニュース
2009.6.5号を読む 2009.6.3号を読む

三木市・小野市 自治体病院再編
市民病院統合計画の実質議論開始
大学からの構想提案では全国初
2009.6.5


 兵庫県の三木市と小野市が進める両市民病院の統合計画について、新設される病院の機能や施設を話し合う第1回目の協議会が開かれ、実現に向けた実質的な議論が始まった。統合病院の計画は神戸大が提案した「マグネットホスピタル」構想に基づいており、協議会には同大の関係者も参加。若手医師にとって魅力ある病院を目指し、詳細を検討していく。協議会事務局によると、大学からの提案をきっかけにした自治体病院の再編は、全国初の試みだという。

 両市民病院が位置する北播磨医療圏には、構成する全6市町に公的病院が整備されている。しかし、すべての施設が100〜300床程度の規模で、地域の中核となる病院がない状態が続いている。

 そのような中、新医師臨床研修制度の導入に伴う勤務医不足が加速し、診療科の休診や縮小が続出。対策として北播磨地域医療確保対策圏域会議は2007年2月に、公的病院の統廃合を進め、中核拠点病院を建設する方向性を打ち出した。

 一方、神戸大は同年5月、同医療圏においてマグネットホスピタルとなる中核拠点病院の設置構想を提案。その後、地域の事情を踏まえ、三木市民病院と小野市民病院の統合案を再提示した。

 事務局担当者によると神戸大は、後期研修医が地域の医療現場でさまざまな症例経験を積めるような病院を希望。大学系列の中核拠点病院として総合医を育てると同時に、地元の医療確保につながる仕組みを描いているという。

 両市は1年間の協議を経て昨年11月、市民病院の統合について合意。新病院の建設予定地には、県と小野市がそれぞれ所有する同市内の土地を選んだ。また具体的な話し合いの場として、神戸大を交えた協議会の設置を確認。先月24日に「第1回三木市・小野市統合病院建設協議会」が開催された。

●建設費負担割合は1対1

 協議会は両市の市長、議会代表、医師会代表、病院長、看護部長と兵庫医科大客員教授の計11人の委員で構成。そこに神戸大医学部付属病院の副病院長と外科学講座チェアマンが、オブザーバーとして加わる。協議会とは独立した組織として、神戸大医学部の教員らを中心としたワーキンググループ(WG)も設けられた。

 協議会の下部組織には、両病院関係者からなる医療機能専門部会を設置。診療科目や病床数、ほかの医療機関との役割分担などについて詳細を詰めていく。このほか病棟配置、患者動線、医療機器などを検討する医療施設専門部会と、経営形態、労働環境などを扱う運営形態専門部会を設けた。

 各専門部会でまとめられた素案は、神戸大WGに提示する。WGは大学病院で培ってきたノウハウを生かす形で意見し、両組織で検討した結果は、専門部会のまとめ案として協議会に報告される。WGが協議会に直接、独自意見を提案できる仕組みも整えた。

 第1回の協議会では、統合病院のオープンを13年10月とする建設スケジュールを決定した。また両市が4月1日付で正式合意した事項として、新病院建設の費用負担割合を1対1にすると発表。病院建設・運営に当たる主体として一部事務組合を来年2月に設立し、小野市長が管理者を務めることも報告された。

 建設の費用に関しては、三木市約8万人、小野市約5万人と人口に開きがあるものの、所在地割や均等割も考慮し均等負担にしたという。

●診療機能を先に協議 素案を来月提示

 今後は医療機能専門部会の活動を先行して開始。診療機能に関する案をまとめ、7月初旬開催予定の第2回協議会で提示する。昨年11月の段階で、両病院の診療機能をベースに新病院の診療科目、病床数などを公表したが、協議会では「1から詰めていく中で自由に意見を出してもらい」(事務局担当者)、必要な機能を確定していく。

 三木市の公開資料によると、小野市長は5月25日の記者発表の席で統合病院について、病床数400〜500床、建設費130〜200億円の規模を想定していると述べている。

 最終的な基本構想・基本計画は今年11月に策定の予定。両市と神戸大の3者は、この構想・計画に沿った取り組みについて正式な合意を形成する。合意の時期は、構想・計画案が公表される9月から11月前後になるとみられる。

(写真:三木市民病院)


All documents,images nd photographs contained in this site belong to Jiho,inc.
Using these documents, images and photographs are strictly banned for any purposes.
Copyright (C) 2009 Jiho,inc.