新型インフルエンザの感染拡大の恐れが低くなったとして、神戸市や県が“安心宣言”を出したことを受け、神戸市医師会(川島龍一会長)は3日夜、同市中央区の市医師会館で「新型インフルエンザ対策会議」を開き今後の医療体制などを協議した。一般診療所で実施している患者の診察について「負担が大きい」などの意見が続出。行政機関との連携に課題を残した。【近藤諭】
会議では、安心宣言を受けて一般診療所などでの医療提供体制の見直しを議論。参加した医師から「新規患者が2週間発生しなければ、一般診療所で診察する必要はない」「国の政治的判断を待ち、発熱相談センターのみを残せば十分」などの意見が出た。
また、新型インフルエンザの感染状況を地域が連携して早期に探知するシステムとして市が発表した「神戸モデル」について、「保健所の権限や人員を強化しなければ実現できない」との疑問も出された。同医師会ではこれらの意見を8日開かれる「神戸市新型インフルエンザ対策本部会議」で提起する方針。
川島会長は「現在の体制はいったん見直し、秋の再流行に備えることが重要。阪神大震災で大きな力を発揮した保健所の機能強化を含め行政と連携して進めたい」と話した。
厚生労働省神戸検疫所や同市環境保健研究所に遺伝子検査用の検体を送る医療機関について、季節性インフルエンザを定点観測している48機関に加え、約100カ所の医療機関も対象として追加したことも報告した。
〔神戸版〕
毎日新聞 2009年6月5日 地方版