2009年6月4日 21時24分 更新:6月4日 22時8分
国内で確認された新型インフルエンザ感染者で最も早く発症したのは神戸市の男子高校生の5月5日だったことが、厚生労働省の調査で分かった。成田空港の検疫で9日に国内初の感染者が確認される前だった。神戸市の生徒に渡航歴はなく、それ以前から国内で感染が広がっていたことを裏付ける。発症のピークは17日の73人で、その後は急激に減少したが厚労省は「カナダではピークが2度あった。このまま終息するかどうかは分からない」と説明している。
調査の対象は、空港で水際阻止した例を除き、6月4日午前11時まで報告された感染者401人。うち390人は保健所を通じて発症日が確認できた。
帰国者以外で初めて感染が確認されたのは5月16日だったが、発症者はそれ以前の13日から急増。17日にピークを迎えた後は一気に発症者が減り、22日以降は10人未満で推移している。6月以降、関西では神戸市で1人しか確認されておらず、大半は米国からの帰国者。また、401人のうち358人は既に回復している。重症者はいないという。
5月5日発症の生徒は、翌日に医療機関を受診。簡易検査でA型陽性だったが、海外渡航歴がないため医師は新型の感染を疑わなかった。感染者が急増した後の18日に残っていた検体の遺伝子検査を実施し、20日に感染が確認された。この時には既に回復していたという。どこから感染したかは分かっていないという。
一方、6月上旬に製薬会社へ届けられる予定だったワクチン製造用のウイルス株の配布は、10日前後にずれ込むという。【奥山智己、内橋寿明】