ゲーム業界の大地殻変動 「Xbox360」が「Wii」を抜く日ソニーのゲーム機「プレイステーション(PS)」の看板ソフトが、マイクロソフトのゲーム機「Xbox360」に続々と参入している。世界最大のゲーム展示会「E3」では、全世界で3000万本近く売れている「メタルギアソリッド(MGS)」最新作が「Xbox360」用ゲームとして北米、欧州で発売すると発表された。ゲームソフトメーカーが戦略を変えたためと見られるが、こうしたゲーム業界の地殻変動により、家庭用ゲームは任天堂とマイクロソフトの時代になろうとしている。 「メタルギアソリッド」最新作は「Xbox360」米国ロサンゼルスで開催されている「E3」の舞台で、コナミの大人気ゲーム「MGS」の小島秀夫監督が2009年6月2日、「MGS」の最新作「メタルギアソリッド ライジング」を「Xbox360」用ゲームとして北米、欧州で発売すると発表した。「MGS」はソニーの「PS」から生まれた大ヒットシリーズ。それだけに会場は驚きの渦に包まれた。 「PS」限定だったはずの大人気ゲームシリーズが「Xbox360」に流れる動きが急になっている。09年3月にはカプコンが全世界に4000万本出荷したシリーズ最新作「バイオハザード5」が、「PS3」用、「Xbox360」用に同時発売された。これまでは「Xbox360」用には発売されていなかった。 シリーズで8500万本以上売れているスクゥエア・エニックスの「ファイナルファンタジー(FF)」の最新作「FF13」は09年冬に発売予定だが、「PS3」用だけでなく、北米、欧州で初めて「Xbox360」用が発売される。また、2010年に発売されるオンラインゲーム「FF14」は「PS3」用のほか、マイクロソフトの「Windows」用も開発すると発表されていて、同じ会社だけに「Xbox360」と何らかの連携があるのではないかと囁かれている。 「PS」から生まれた人気シリーズが「Xbox360」に登場していることについてマイクロソフト日本法人広報は、 「ユーザーの方々に満足頂けるラインナップを揃えるのが自分達の使命、という考えでソフトの充実を進めてきた。メタルギアやFFといった超人気作に登場していただけるということは非常に心強いこと」 と今後のXbox360の展開について自信を深めている。一方のソニー・コンピュータエンタテインメントは、 「ソフトをどのゲーム機で出すかはメーカーさんの戦略ですので、メーカーさんにお聞きになってください」(同社広報) としている。 売れているゲーム機にソフトが供給されていくかつては任天堂の1社支配だった全世界の家庭用ゲーム市場だが、90年代後半から「PS」が台頭し、00年に発売された「PS2」でソニーは世界を席巻する。任天堂との世代交代とも言われたが、06年に発売した「PS3」の売上げが伸びなかった。ソニーの09年3月期決算では、ゲーム部門の売上高は18%減の1兆531億円。営業損益は585億円の赤字だった。最近発表されたゲーム機各社の全世界出荷台数を比較してみると、任天堂「Wii」が5000万台。「Xbox360」が3000万台。「PS3」は1006万台と2社に大きく水を開けられている。 ゲームに詳しいジャーナリストは、「PS3」と「Xbox360」は高機能、ネット展開など戦略が共通しているだけに、より強いゲーム機の方に人気ゲームソフトが流れていくのは当然のことだ、と指摘する。また、日本はゲーム大国と言われているものの、実際は海外のゲームメーカーの力が強大になり、日本のゲームソフトが伸び悩んでいるのが実情だ。そうした中で、日本のゲームメソフトメーカーも巻き返しを図るため、海外販売を強化している。それには、 「『PS3』の3倍も売れている『Xbox360』組んだ方が当然有利なわけです。有力ソフトが集まるため『Xbox360』はさらに強くなるでしょうし、いつかは『Wii』を抜くかもしれません」 と話している。
コメントを見る・書く
関連記事カテゴリ内の最新記事スポンサーサイトテレビウォッチの最新記事モノウォッチの最新記事注目情報
会社ウォッチの最新記事スポンサーサイト |
|
注目情報
▼アクセスランキング▼コメントランキング |