集中連載・週刊誌サミット:相撲八百長疑惑の記事に4290万円。しかしまだ戦える――『週刊現代』加藤晴之前編集長 (1/3)
スクープを追い続ける週刊誌にとって、訴えられることは“日常茶飯事”の出来事なのかもしれない。賠償請求総額が24億円を超える『週刊現代』の加藤前編集長は、訴えられることについてどのように考えているのだろうか?
あなたは『週刊現代』について、どのようなイメージを持っているだろうか。食肉利権や横綱朝青龍の八百長疑惑など、話題になったスクープを浮かべる人も多いのでは。しかしスクープを報じるということはリスクも高く、そのため関係者から訴えられることもしばしば。
『週刊現代』前編集長の加藤晴之氏が抱える訴訟の数は、70を超えるという。中でも八百長疑惑記事では第一審で「4290万円支払え」という、過去最高の金額に達した。賠償金の高額化傾向が強まる中、訴訟について加藤氏はどのように考えているのだろうか。5月15日に開かれた“週刊誌サミット”での声を紹介する。
→編集長は度胸がない+愛情がない……週刊誌が凋落した理由(前編)
→弾圧を恐がり、“感度”が鈍い編集者たち――週刊誌が凋落した理由(後編)
「会社を辞めなくてはいけないな」という気持ちに
元木昌彦(司会):私は編集長時代に50件ほどの訴訟を抱えたことがあり、「お前はとんでもない奴だ」と言われてきた。しかし私をはるかに凌駕(りょうが)し、70件以上の訴訟を抱えているのが、『週刊現代』前編集長の加藤晴之さんだ。訴えられていることが悪いとは思わないが、最近では八百長問題※1で4290万円の支払いを命じられた。この判決を受けるに至った経緯について、話を聞かせてください。
加藤晴之:先ほど元木さんから、(八百長問題で)4290万円の支払いが命じられたというお話があったが、私は“しれっと”しているわけではない。正直、目の前が真っ暗になった。今は現場から離れているが、その判決を聞いたとき「会社を辞めなくてはいけないな」という気持ちに追い込まれた。
現場の編集長にも「誠に迷惑をかけた、申し訳ない」と謝罪し、本当に居たたまれない気持ちで一杯になった。ちなみに賠償請求総額は24億5000万円……言い訳ではないが、勝訴や勝訴的和解をした件も数多い。例えば新聞やテレビが報じなかった、JR東日本の革マル派の問題※2。この件は今のところ連戦連勝で、40勝ほどしている。