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大学側 ズレた教育的配慮 京教大生 集団暴行

子学生6人が逮捕され、会見で謝罪する京都教育大の寺田光世学長(左)ら

 京都教育大学の男子学生6人がコンパに参加した女子大学生(20)に性的暴行を加えたとして逮捕された集団準強姦(ごうかん)事件で、大学側が現場に居合わせた数人も訓告処分とする一方、うち1人は教員免許を取得してすでに卒業したことが1日、明らかになった。同日記者会見した寺田光世学長(67)は「教育が至らなかった」と謝罪する一方、処分後も警察への通報や公表をしなかったことについて「教育的配慮を優先した」と正当性を主張。事件の重大性とのズレを露呈した。

 京都府警や同大学によると、事件の引き金となったのは2月25日夜に開かれた体育学系学生の卒業生追い出しコンパで、約90人が参加。逮捕された6人は体育会のアメリカンフットボールやサッカー、陸上、ハンドボールの各部に所属しており、被害学生をコンパ後に空き部屋に連れ込み、集団で暴行したとされる。

 被害を受けた女子学生は、3月3日に教員に相談。大学側は被害学生や6人らに聞き取り調査を行ったが、被害学生の保護者に対しては同24日、「公然わいせつは6人とも認めたが、同意があったのか、無理矢理だったのか、細かいところは判断できない」と説明。被害学生は4月になって府警に告訴した。

 一方、現場には事件当時、この6人のほか数人の学生が周りにいて一部目撃していたといい、大学側は6人を無期限停学処分にする一方、居合わせた学生についても訓告処分としたが、うち1人は教員免許を得て3月に卒業。大学側は訓告処分の人数や卒業生の進路について「公表する義務はない」としている。

 会見で寺田学長は、事件について「教育的責任を果たせなかったことについて深くおわびしたい」と謝罪。しかし、大学として早期に警察に通報しなかったことについては「内密に事実確認を行うことを優先したため」と釈明した。

 さらに、逮捕された6人への「教育的配慮」という言葉を連発し、公表しなかったことの正当性などを主張。当初は「自殺行為におよぶ恐れもある」として6人の処分内容すら明らかにせず、会見が一時中断するなど混乱ぶりをみせた。

「口止め?」学生に怒りと困惑

 「みんな教師を目指している大学なのに…」「大学側の対応はおかしい」。事件を受け、京都教育大学の学生からは、信じがたい不祥事に怒りや戸惑いの声が相次いだほか、大学側から「口止め」があったことを示唆する声も聞かれた。

 1日、大学に来て初めて事件のことを知った教育学部4年の女子学生(22)は「この大学は、教師を目指して学んでいる人たちばかりなのに悲しい」と話す一方、「今年4月のオリエンテーションでは、飲酒に対する注意が例年よりも強かったような気がする」。体育会クラブに所属する4年の男子学生(21)は、事件のことはうわさでは知っていたといい「公表しなかったのはおかしい。新学期になって顧問から、コンパでは飲酒を控えろと言われた」と話した。

 大学側の隠蔽(いんぺい)を疑う声もある。体育会クラブに所属する1年の男子学生(19)は「大学側から、体育会全体に事件やコンパについて話すなと通達があって、口止めされていると聞いたことがある」と打ち明けた。

 一方、逮捕された6人のうち2人はアメリカンフットボール部に所属していたが、関西学生アメリカンフットボール連盟の徳岡彰専務理事(67)は、平成18年に京大の元部員3人が逮捕された集団準強姦事件を振り返り「京大の事件があってから、各チームには二度とこのようなことをしてはならないと注意喚起をしてきたのに、残念だ」とショックを隠しきれない様子。京教大への処分については「学校の判断を待ってから、必要ならば考えたい」と話した。

【写真説明】男子学生6人が逮捕され、会見で謝罪する京都教育大の寺田光世学長(左)ら=京都市伏見区の同大学(柿平博文撮影)

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