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天安門事件20年 “風化”も「民主運動」再燃を警戒  (1/2ページ)

2009.5.27 20:51

 民主化を求める学生、市民を武力鎮圧した天安門事件から間もなく20年。事件の代名詞の「六四」も知らない世代が増える中で、人びとは、当時の熱狂も怒りも悲しみも記憶の奥に封じ込め、市場経済の海を泳いできた。事件の風化がいわれて久しいが、中国当局は今日の経済発展などを理由に武力行使を正当化する一方、事件に関する報道や言論を圧殺し続けている。民主運動が再燃したら、共産党体制は今度こそ危機に陥ると警戒してのことだ。(北京 伊藤正)

 1919年5月4日、北京の学生が日本の侵略に反対するデモをして始まった「五四運動」。その90周年の今月4日、北京の人民大会堂で、胡錦濤国家主席以下中国共産党のトップ9人全員が出席して記念大会が開かれた。

 党を代表して李長春政治局常務委員が演説、「愛国、進歩、民主、科学」の五四精神をたたえ、「90年来、青年は常にわが国社会の最も積極的で、生気に満ちた力であり、祖国と民族の未来だった」と述べた。

 20年前の同じ日、同じ会場で開かれた70周年大会では、趙紫陽総書記(肩書は当時=以下同)が演説した。それより前、4月15日に急死した胡耀邦前総書記を追悼する学生デモが起こり、趙氏の北朝鮮訪問中にデモは市民の声援を受け拡大していた。

 その最大の原因は、学生デモを「反党、反社会主義の動乱」と断じた4月26日付「人民日報」社説だった。社説は、最高実力者のトウ小平氏の講話に基づいていたため、学生らは民主化要求を強め、党との対立姿勢を強めていた。

 趙紫陽氏は五四演説で、事態収拾を図るべく、学生デモを五四運動と同じ愛国の熱情の表れと評価、民主化への努力を約束した。人民日報社説の否定に等しく、デモは沈静化に向かったが、トウ氏や李鵬首相ら強硬派との対立を招いた。

 その後、学生が天安門広場でハンストを開始、市民、労働者も参加した数十万規模のデモが続く中で、トウ氏ら強硬派は趙氏を排除して戒厳令を決定、6月3日夜から4日未明にかけての血の弾圧になった。

 トウ小平氏は問題の社説の撤回も修正も拒否し、最後には武力行使を指示した。青年層が変革を目指した点では、「五四」も「六四」も同じだった。しかし李長春演説は、天安門事件はむろん、89年を含め過去の民主運動にも触れていない。党への異議申し立ては党の敵対者という社説の精神は引き継がれているのだ。

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