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兵庫・西脇市立病院:小児科の入院再開 母さん、医療危機救う

 ◇受診ルール勉強会、署名活動で医師増

 勤務医が1人に減り存続が危ぶまれていた兵庫県西脇市の市立西脇病院小児科へ、4月に東京から医師1人が着任し、6月中に2年ぶりの入院診療が正式に再開される。小児科医療を守ろうと、署名活動をしたり、「コンビニ受診」抑制の学習会を開いた地域の母親たちの取り組みが実った結果で、母親たちは「素人の主婦だって、やればできるんだ」と自信を深めている。【大久保昂】

 小児科の存続の危機を知った1人の母親が、子育てサークルで声を上げたのがきっかけ。輪は広がり、08年1月に母親約50人で「市立西脇病院小児科を守る会」を結成した。

 同病院小児科の医師は93年度の5人をピークに減少。07年7月には神戸大医学部から派遣されている許永龍医師(57)1人となり、入院診療を休止。負担は大きく、小児科の存続すら危ぶまれていた。

 同会は、まず小児科医増員を求める署名集めを始め、約2カ月で市内外から6万5241人分を集めた。また医師の負担を軽くしようと、市内の母親らを対象にした勉強会を開き、軽症なのに受診する「コンビニ受診」を控えるよう訴えた。その結果、小児科の時間外診療が減少。許医師は「市民に必要とされていると感じ、やりがいが増した」と語る。

 隣の丹波市で署名活動などを展開し、医師増員につなげた「県立柏原病院の小児科を守る会」とも連携、署名の集め方などを教えてもらった。逆に、コンビニ受診の勉強会は柏原側が取り入れた。

 活動が実り、4月に同県出身で帰郷を考えていた佐伯啓介医師(37)が、東京の専門病院から西脇病院に赴任。佐伯医師は「感謝してもらえることは大きなモチベーションになると思った」と語る。

 同会は5月、活動対象を広げ「西脇小児医療を守る会」に名称を変更した。自身も主婦の村井さおり代表(33)は「コンビニ受診を控える運動を各地に広げたい」と意欲を燃やしている。

 ◇地域の努力重要--地域医療に詳しい城西大の伊関友伸准教授の話

 住民の努力で入院診療が復活するケースは全国的に見ても数少ない。医師を招へいして地域医療の崩壊を防ぐには、医者が「働きやすさ」を感じることが重要。住民が病院を大切に使おうとする西脇市の動きが全国に広がってほしい。

毎日新聞 2009年6月1日 大阪朝刊

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