2009年6月1日3時1分
利用者が専用の端末を使うと、予約した本がある棚を光で知らせるシステム=31日午後、東京都府中市の市立中央図書館、福留庸友撮影
車両サービスが本業の大新東は02年から本格参入。06年4月から運営に携わる兵庫県明石市立図書館では、本業を生かし、月1回程度、高齢者や障害者の自宅へ本の集配サービスを続けている。
このほか、ビル管理、人材派遣会社なども参入する。
出版関係企業も注目する。一部業務の受託まで含めれば今や約190カ所を運営する最大手は、図書館流通センターだ。図書館に新刊情報を提供し、書籍を納入する老舗(しにせ)だが、「自治体の予算は減るばかり。事業拡大が必要だった」と96年に初受託した。
センターを傘下に持つ大日本印刷は、ICタグの製造も大手で、丸善やジュンク堂書店などもグループ化した。森野鉄治常務は「読者が本に接するのは店頭と図書館。図書館が活性化し専門書がきちっと売れれば、結果的に出版や印刷メーカーなどの利益につながる」と話す。
ただし、課題もある。図書館法は対価を取ることを禁止。サービスを良くして利用者が増えるほど、費用がかさむ。
高知県南国市は07年から指定管理者制度への移行を決めていたが、委託先が「提示された予算では責任が持てない」と辞退した。島根県安来市も、「専門業者も都心に集中している」として、08年からは直営に戻した。
協会の常世田良理事は「コスト節減と言っても、人件費圧縮ぐらいしか工夫の余地がない。サービス低下につながりかねない」。実際、「コスト削減だけを求めてくるケースもある」(大新東)という。(湯地正裕)