豊後大野市犬飼支所のD・M・C展示コーナー。旧町長室に隣接する応接室を活用、D・M・Cグッズが並んでいる
人気ギャグ漫画「デトロイト・メタル・シティ」(D・M・C)の映画化で、ロケ地として注目された豊後大野市犬飼町。「D・M・Cの聖地」と呼ばれ、映画の上映後は全国からファンが訪れている。市犬飼支所は“巡礼客”を受け入れるため、旧町長室の隣にある応接室に関連グッズを並べ「D・M・C展示室」に改造。映画のロケ地と並び、立ち寄り先として人気を集めている。
「D・M・C」は、大分市出身の漫画家、若杉公徳さんの作品。普段おとなしい犬飼町出身の主人公根岸崇一が、悪魔系デスメタルバンドのカリスマギターボーカル「ヨハネ・クラウザーⅡ世」として東京で 活躍するコミック。過激な セリフ、ギャグで人気を集めている。
若杉さんの祖父母が犬飼に住む縁で、作品の中には犬飼の風景や商店がたびたび登場。商店街は「犬飼のシャンゼリゼ通り」、スーパー「あべよし」は名店中の名店として紹介されている。
ロケはことし三―四月、JR犬飼駅、黒松阿蘇社などで。八月の上映後は、商店街の中をD・M・Cのコスプレで歩く県外 からの若者が訪れるなど、異変が起き始めた。
市犬飼支所によると、以前からファンらしき若者を見かけていたが、八月から「明らかに映画を見た人」が増え始めたという。「せっかく来てもらって も何もない」と考え、関連グッズの展示を始めた。
場所は支所二階の旧応接室。映画のパネル、小道具や出演した松山ケンイチさん、宮崎美子さんのサイン、非売品のTシャツなどを展示している。
田嶋栄一同支所総務課長は「旧町時代は最も重要だった部屋を活用。以前は歴代町長の写真を並べていた。役所OBが見たら驚くかもしれない」と説明する。
ファンが訪れると職員が二階へ案内。原作の中にも登場する同支所総務課の河野亮さん(35)も対応しており、喜ぶファンも多い。河野さんは「知らないところで知名度が上がって不思議な感覚」と苦笑い。
訪れた人のために用意した「聖地巡礼者芳名帳」も人気で、県内外からのファンが署名している。
このほか、JR犬飼駅、神社など巡礼ポイントや、犬飼の銘菓を紹介する「聖地」犬飼巡礼ガイドを作製。支所などに置いているが、郵送していないためレアアイテムになっているという。
人気スポットの一つになっている「あべよし」の安部恵一店長(30)は「店の前で携帯電話で撮影する人をよく見かける。なぜか店のレシートを欲しがる人が増えた」と話している。
同支所の河野さんは「連休を利用し、『犬飼に行こうか』といって遊びに来てくれた神奈川県からの観光客がいた。何もないところに わざわざ来てくれて、本当にありがたい。これからも 犬飼にファンが訪れてくれれば」と話している。
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