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出版業界再編、カギは大日本印刷 書店など次々傘下に(1/3ページ)

2009年5月30日1時0分

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 長引く不況の中、出版業界が激しく動いている。今月中旬、講談社、集英社、小学館の大手3社と大日本印刷グループが発表したブックオフ株の取得は、長く両者が対立してきただけに、業界を驚かせた。筆頭株主となった大日本印刷は今回の提携を主導したほか、主婦の友社や大手書店の丸善、ジュンク堂などを次々に傘下に置いている。今後、新たな再編が生まれる可能性もある。

 出版社にとって新古書店のブックオフは、新刊本が売れない一因で、作者への還元もしない「敵」だった。今回の資本参加について、ある中堅出版社の社長は「もうブックオフの好きにさせないということ」とみる。

 ブックオフは約900店舗を全国展開し、本の売り上げは年間220億円を超える。出版社側には、むしろ取りこむことで二次流通市場をコントロールしようという考えがある。大きな狙いは、3社の売り上げが市場の6割強を占めるといわれるマンガ単行本(コミック)だ。08年の新刊コミックの推定販売金額は2372億円。ブックオフのコミック販売額は90億円強だが、新刊本の定価に換算すると数百億円になる。

 ブックオフ側も株取得を歓迎した。リーマン・ショック後に大株主の日本政策投資銀行系のファンドが株を手放そうとした時、取得を検討した中に新古書も扱う企業が含まれていた。業界の主導権を競争相手に握られたくなかったからだ。

 だが、出版社とブックオフの思惑は早くもずれている。

 講談社の森武文常務は「要請の第一が、コミックを含めて価値を創造する者へのリターン。次の作品が生み出される世界を構築してくださいということ」と話す。ある出版社幹部からは、ブックオフの売値の1〜2%程度を作者に還元することを求める声が上がっている。新刊が出たあと一定期間は店頭で売らないでほしいと要望も出そうだ。

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