国立感染症研究所(感染研)は29日、関西で最初に新型インフルエンザの感染が確認された5月16日より2週間以上前の4月28日ごろ、すでに神戸市、大阪府内で患者が発生していた可能性があるとの見方を示した。また、製品評価技術基盤機構と感染研は29日、関西で採取した新型の遺伝子解析の結果、4月下旬の米東部とカナダでの流行前に発生した比較的古いウイルスであることが判明したと発表した。
感染研感染症情報センターの大日(おおくさ)康史主任研究官によると、例年はシーズン前半に新型と同じA型インフルエンザが流行し、後半から春先までB型インフルエンザが流行する傾向がある。しかし今年は、神戸市と大阪市周辺地域で4月中旬から下旬にB型の流行が終息。その後の4月28日、神戸市中央区の薬局で治療薬(タミフル、リレンザ)の処方が例年を上回って急増し、流行レベルに達した。大阪府内でも5月1日に池田、枚方市、13日に池田市で同様の状態になった。
茨木市内の高校に通う生徒の感染が確認された翌日の18日に池田、枚方、茨木の3市で、京都市右京区に住む専門学校生が発症した20日とその前日に同区で、それぞれ同じ現象が起きていたことから、4月末から5月初めの流行も新型の可能性があるとみている。
一方、同機構によると、韓国で4月末に確認されたメキシコからの帰国患者から採取された遺伝子と似ており、同機構は「メキシコから直接流入した可能性もある」とみている。【関東晋慈、山田大輔】
◇新型インフルエンザ関連の主なできごと
4月下旬 メキシコや米国で新型インフルエンザ患者や死者が明らかに
28日 WHOが警戒レベルをフェーズ4に引き上げ(日本時間)。日本政府が新型発生を宣言
同日 薬局サーベイランスシステムが神戸市中央区でインフルエンザの流行を検知
5月1日 同システムが大阪市周辺でも流行を検知
9日 成田の検疫でカナダから帰国した大阪府の高校生の感染確認
16日 海外渡航歴のない神戸市の高校生の感染確認
初の国内感染
17日 渡航歴のない大阪府の高校生の感染確認
毎日新聞 2009年5月29日 21時29分(最終更新 5月29日 21時55分)