北朝鮮、韓国のPSI全面参加表明に「われわれに対する『宣戦布告』と受け止める」
北朝鮮の核実験問題で、韓国がPSI(大量破壊兵器拡散防止構想)への全面参加を表明したことに、北朝鮮は「宣戦布告と見なす」と猛反発している。
朝鮮中央テレビは27日午後5時すぎ、「『黄海』のわが方の海上軍事境界線の周辺水域で行動する、米帝侵略軍と南朝鮮かいらい海軍の船舶、および一般船舶の安全の保証はできなくなる」と報じた。
5月26日、韓国の大統領府報道官は「北朝鮮が核実験やミサイルを発射しただけに、『PSI』への参加をこれ以上、遅らせる理由はありません」と述べた。
核実験の翌日の26日、韓国が全面参加を宣言したPSIは、大量破壊兵器を運搬している疑いのある船舶に関する情報交換を緊密にし、各国が連携することで臨検を容易にする。
PSIには日本をはじめ、90カ国以上が参加している。
韓国はこれまで、対北融和政策を進めていた盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権下で、北朝鮮の反発を避けるため、オブザーバー参加にとどめていた。
しかし、テポドン2号の発射、そして核実験を受け、李明博(イ・ミョンバク)政権はPSIへの正式参加を決めた。
朝鮮中央テレビは「李明博逆賊一味のPSIの『全面参加』を、われわれに対する『宣戦布告』と受け止める」と報じた。
2002年、イエメン沖で北朝鮮が輸出したスカッドミサイルが、スペイン海軍の臨検によって発見されている。
韓国のPSI参加で、北朝鮮は、目と鼻の先の海域でも厳しいチェックを受けることになる。
軍事評論家の岡部 いさく氏は「韓国がPSIに全面参加するというのは、北朝鮮としては、例えばプルトニウムや核兵器、ミサイルの部品や技術などを船で輸出しようとしても、言ってみれば『家の門』を出たとたんに監視がついてくるというものですよね。だからこれは、北朝鮮にとっては嫌な事態なんじゃないでしょうか」と話した。
一方、国連安保理では、日米などは船舶の臨検の義務化など、新たに制裁を盛り込むとみられており、週内の採択に向け、交渉はヤマ場を迎えている。
(05/28 00:32)