パキスタン・ジャロザイ避難民キャンプ(CNN) パキスタン軍によるイスラム強硬派勢力タリバーンの掃討作戦が続く北西辺境州から、戦火を逃れて連日多数の住民が避難している。州都ペシャワル近郊のジャロザイ・キャンプに流れ込んだ避難民は9万3000人を超えた。
国連の推計によれば、戦闘により家を失った人は180万人にも達し、1947年の独立以来、同国史上最大規模の「大移動」が起きている。
ジャロザイ・キャンプの収容人数は、数千人単位で膨れ続けている。テントがどこまでも並ぶ光景は、砂漠に突然現れた都市のようだ。果物売りが間を縫って歩くが、貧しい避難民に十分な買い物はできない。国連からの配給の小麦を奪い合うようにして持ち帰り、パンを焼く人々。「食べ物にありつけても、牛さえ食べたがらないようなものばかりだ」と、男性がつぶやく。
別の男性は15日前、妻と3人の子どもを連れてキャンプに駆け込んだ。一家は100キロの道のりを歩いて避難してきた。年老いた父親は連れてくることができなかったと、唇をかむ。
キャンプ内に8カ所設けられた病院には、下痢や熱射病、心的外傷(トラウマ)などの患者が次々に訪れる。ある朝の新患は380人。ほとんどが女性や子どもだった。
同国のマリク内相は避難民が急増する現状について、「05年にカシミールで起きた地震よりもひどい。避難民の多くは冷涼な地域からやってくるため、暑さに耐えられず体調を崩す人も多い」と、懸念を示す。
ジャロザイ・キャンプの周辺では、新たなテントを造成するための造成が今も続く。押し寄せる避難民が途絶える気配は、どこにもみられない。