北朝鮮短距離ミサイル発射 防衛をめぐる国内の議論も活発化
自衛隊とアメリカ軍が情報収集にあたる一方、北朝鮮は26日も短距離ミサイルを発射した。防衛をめぐる国内の議論も活発化している。
26日午後7時すぎ、沖縄の嘉手納基地から、アメリカ空軍のWC-135W「コンスタントフェニックス」が飛び立った。
機体に備えた収集装置によって、大気中の放射性粒子などを検知できる能力を持つ。
行き先は日本海上空とみられ、北朝鮮付近で核実験による放射性物質の収集にあたっていると推測される。
その一方、北朝鮮が見せた動きは、日本海側での短距離ミサイル数発の発射。
軍事評論家の岡部 いさく氏は「今回発射された短距離ミサイルなんですけど、その一部が航空機を狙う地対空ミサイルだったようです。この発射されたミサイルがコンスタントフェニックスを直接狙ったものではないと思うんですけれども、少なくともアメリカ軍の偵察機に対するあからさまなけん制だったんじゃないですかね。そうすると、たぶんアメリカと北朝鮮は、日本海のわれわれの見えないところでいろいろな駆け引きをやっているということじゃないですか」と語った。
そのアメリカは25日、政府高官が今回の核実験について、「数kt規模の人為的な爆発」と明かしたという。
今後の放射性物質の調査で「核実験が成功」となれば、北朝鮮は核爆弾のノウハウを得たことが明らかとなる。
そして、その原料であるプルトニウムをまだ保有している。
岡部氏は「今回の実験が成功だったとすれば、北朝鮮はおそらく手持ちのプルトニウムでさらに核爆弾を作るんでしょう。少なくとも数発は保有できるだけの量を持っているようです。で、北朝鮮は4月に発射したテポドン2号のほかにも、いろいろな種類の弾道ミサイルを持っているわけです。そうなると、日本と緊張を抱えたままの隣国がいよいよ核弾頭搭載の弾道ミサイルを実験配備するっていう段階を迎えるんじゃないでしょうか」と語った。
緊張が高まる北朝鮮情勢。
折りしも、日本では26日、北朝鮮のミサイルの脅威を念頭に置いた次期防衛大綱の提言案が、自民党の国防部会小委員会に提出された。
自民党の中谷 元元防衛庁長官は「ミサイルの発射基地そのものをたたいて、それを阻止する能力というものをわが国、持たなければならないと」と述べた。
提言案には、敵のミサイル基地などを対象とした攻撃能力、いわゆる策源地攻撃能力の必要性が明記されていたが、部会では慎重論も出たという。
麻生首相は「(策源地攻撃論は)枠組みを決めたうえで、法理上はできると。攻撃をできるということは、もうこれは昭和30年の時代から話が(ある)と承知をしています」と述べた。
このほかにも、早期警戒衛星の研究開発などにも言及があり、北朝鮮の核・ミサイルをめぐる日本での防衛論議は、一気に広がりを見せている。
(05/27 00:32)