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【社会】

厚労省係長を逮捕 DM不正 稟議書偽造容疑『上に言われた』

2009年5月27日 朝刊

郵便制度悪用事件で大阪地検に入る厚生労働省係長の上村勉容疑者=26日午後、大阪市で

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 障害者団体向け郵便制度悪用事件で、ダイレクトメール(DM)を不正発送していた障害者団体の承認に向けた厚生労働省の「稟議(りんぎ)書」を偽造したとして、大阪地検特捜部は二十六日、虚偽公文書作成・同行使の疑いで、同省障害保健福祉部企画課係長の上村勉容疑者(39)=東京都中野区=ら二人を逮捕した。 

 上村容疑者が公文書の偽造について「上に言われ従った」と障害者団体「凜の会」(現・白山会)関係者に話していたことが、複数の関係者への取材で判明。特捜部は、上司の指示や組織的な関与がなかったかどうかを含め、詳しい経緯を調べている。

 ほかの逮捕者は凜の会の元会員河野克史容疑者(68)=埼玉県新座市。特捜部によると、上村容疑者は逮捕前の聴取に容疑を認めていた。逮捕後の二人の認否は明らかにしていない。

 二人の逮捕容疑では、共謀の上、二〇〇四年四月下旬、凜の会への証明書発行の承認に向け決裁手続きが進んでいるように装った稟議書を偽造。また、申請手続きが「滞りなく進めることになっております」などと記載し、係長の肩書で記名、押印した別の偽の文書を作成し、二通の文書を特定非営利活動法人(NPO法人)「障害者団体定期刊行物協会」(東京)に提出したとしている。

 団体や捜査関係者らによると、凜の会関係者と面会した際に「わたしもノンキャリなので、いろいろ上に言われると従わざるをえない」などと話したという。

 捜査関係者によると、稟議書には課内の別の職員数人の印影があり、起案者欄に上村容疑者の署名、押印があった。

 稟議書はその後、河野容疑者らが、障害者団体定期刊行物協会に提出。制度利用には、刊行物の八割以上が有償購読されていることなどの条件があるが、同協会に加盟すれば条件を満たさなくても利用ができる。

 凜の会は活動内容が定かではないとの理由でいったん断られており、特捜部は、再交渉で正規の団体と装うため厚労省側に偽造を依頼したとみている。

 

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