(cache) 曽野綾子「私は今はもう沖縄問題から足を洗いたいんです。」…。 - 文藝評論家=山崎行太郎の政治ブログ『毒蛇山荘日記』

文藝や哲学を知らずして政治や経済を語るなかれ!!!

「三田文学」に発表した『小林秀雄とベルグソン』でデビューし、先輩批評家の江藤淳や柄谷行人に認められ、文壇や論壇へ進出。大西巨人との論争や、小泉・竹中批判、安倍批判、「青色発光ダイオード」の中村教授批判を展開。最近は「沖縄集団自決裁判」問題で、曽野綾子や小林よしのり、及び保守論壇の守旧派・渡部昇一、秦郁彦……等を徹底批判。文壇・論壇に蔓延する予定調和的言説の脱構築的解体を目指すー。というわけで、山崎行太郎の思想・表現活動の拠点たる「ブログ」と「メルマガ」を読もう!!!

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2009-05-23

■曽野綾子「私は今はもう沖縄問題から足を洗いたいんです。」…。

曽野綾子氏が、秦郁彦編集の『沖縄戦「集団自決」の謎と真実』(ＰＨＰ)に、秦郁彦との対談をまとめたものを掲載し、つまり「対談・沖縄の『悲劇』を直視する。」という対談で登場し、僕が一昨年、曽野綾子批判を開始し、「月刊日本」や「週刊金曜日」「琉球新報」等で、曽野綾子批判だけではなく、「沖縄集団自決」をめぐる保守論壇や保守ジャーナリズムの思想的劣化や知的退廃までを批判し始めて以来、久しぶりに、というか実質的には、おそらく初めてと言っていいのではないかと思うのだが、「沖縄集団自決」に言及しているのだが、大阪地裁判決の直前まで、意気揚々と繰り返していた「罪の巨塊(巨魁)」発言、詳しく説明すると、大江健三郎氏が「罪の巨塊(巨魁)」と発言しているような人物(つまり赤松隊長)に会ってみたいと思ったのが、曽野綾子氏が「沖縄集団自決」に関わるきっかけだったという話に関する、いわゆる肝心の「誤字・誤読問題」には、不思議なことに、逃げたのかどうか分からないが、まったく触れていない。この曽野綾子－秦郁彦対談は、昨年(2008年)の夏ごろ、曽野綾子邸でこっそりおこなわれたものらしいが、いかなる理由があるのか知らないが、何処の雑誌にも発表されなかったらしい。ほとぼりが冷めた頃、そっと出したということだろうか。いや、実は、どの保守系雑誌の編集部も、これ以上、この問題に深くかかわりたくなくて、お引取り願ったというのが実際だろう。いずれにしろ、大江健三郎氏が法廷で指摘し、僕がその大江氏の話を、さらに深く広く敷衍・展開した「誤字・誤読問題」には、一言も言及せず、つまり都合の悪くなった話の方は、沈黙を決め込み、どうでもいいような自慢話は、延々と続けるつもりらしいが、しかしそれでも気がひけたのか、こんな爆弾発言をしている。…「私は今はもう沖縄問題から足を洗いたいんです。…」と。おいおい、今まで、多くの人たちを洗脳し、裁判闘争にまで巻き込み、さんざん振り回し挙句、裁判が敗色濃厚となるや、自分だけは、さっさと「足を洗いたい」とは、ふざけるにも程がああるというものではないのか。むろん、そう易々と「足を洗う」ようなマネを、許してはなるまい。しかも、曽野綾子氏は、「負け犬の遠吠え」よろしく、まだこんなことを言っている。…「私はこの本を書いた時からずつと一貫しているんです。軍命令はなかったという証拠もないが、あったという証拠もありません。今にも洞窟の奥から決定的な文書が出てきたら私は即座に訂正いたしますと言い続けてきたんです。」と。いかにも、さっぱりした、潔い態度のように見えるが、ここに欺瞞的レトリックが隠されているのだ。つまり、こうだ。曽野綾子氏の言う「軍命令の証拠」になるものとは、「洞窟の奥の文書」でなければならないということだ。なるほど、そういうことは、つまり文書以外の「軍命令」の証拠は認めないということであろう。曽野綾子氏の言う「文書」とは、おそらく日本軍の「公式文書」ということだろう。要するに、曽野綾子氏は、そんなものは、いくら探したって見つかりはしないさ、とタカをくくっているのだ。むろん、当時の渡嘉敷島や座間味島の状況を勘案するならば、軍からの「公式文書」が出ているはずはなく、つまり命令系統はほぼ遮断されていたはずだから、「文書」があるはずはない。それを承知の上で、曽野綾子氏は、「文書が出てくれば…」と言っているのだ。頭隠して尻隠さず、とはこういうことを言うのであろう。ところで、秦郁彦氏は、『沖縄戦「集団自決」の謎と真実』(ＰＨＰ)の中で、本来は裁判闘争にかかわった仲間だったはずの原告側弁護士を、わざわざ匿名で、「Ｔ弁護士」と暗号で呼んだ挙句、遅刻の常習犯だったとか、書類作成が遅く、ルーズだったとか、あるいは秦郁彦氏らが、現地調査で座間味島を訪れた時、「偶然…」(笑)に発見したところの「宮平秀幸新証言」なるものを、裁判資料として重視しなかったとか、あるいは秦郁彦本人が「証言」するはずだったのに、それが裁判所に却下されたとか、要するに、それらのことを含めて「Ｔ弁護士」の責任を激しく批判・追求しているが、これは、僕が以前から予想していたことだが、「沖縄集団自決裁判」原告側弁護団、及び支援者グループが、大きく二つに分裂したことを示している。ちなみに、「Ｔ弁護士」とは、「徳永弁護士」のことだろうが、いずれにしろ、結局、最高裁判決を待たずに、この裁判は決着がついているのである。しかし、むろん、「沖縄集団自決」問題が、裁判の判決で終わるわけではない。そもそも、裁判で決着をつけようとしたのは、大江健三郎氏がわではなく、秦郁彦氏や曽野綾子氏を初めとする保守論壇や保守ジャーナリズムの一部の面々だったことを忘れてはなるまい。今頃、裁判官に歴史の真実を語る資格はない、とか何とか言って裁判官を批判したとしても、それは「語るに堕ちる」と言うべきであって、喜劇でしかない。(続く)

■下は曽野綾子氏が、赤松氏らと打ち合わせをしている写真。

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なまけもの 2009/05/23 22:17 この「沖縄集団自決」は、いつから右や左を分けるリトマス紙のような問題になってしまったのか？「軍命令」があったと言えば左翼になりなかったと言えば保守になる。このような、不毛な論争を日本の論壇はいつまでも続けていくのか。これは日本の歴史の事実を探究する事であって、右翼や左翼を決める問題ではないはずだ。戦後６０年の間に日本の歴史から沖縄が遮断されてしまったように思う。
ちなみに、山崎先生は「軍命令」は、あったと思いますか、なかったと思いますか？先生のお考えをお聞きしたいです

吉良影吉 2009/05/23 22:19 いえ、そうではないと思います。罪の巨魁だろうが巨塊だろうが、
争点になっている集団自決の有無と全く関係ないので
曽野さんは言及しないだけです。反論があればまた書いてください。

曽野さんが欝気味になった理由は知りませんが、他者が病気になった事を
これ見よがしに書くのが保守なのですか？武士道的配慮、惻隠の情ですとか
女子供のような弱者には配慮するですとか、そう言うのは全く無いようですね。

違うでしょう。「洞窟の奥」は比喩に過ぎません。そんな文言に得意げに
食って掛かって、何が「文芸評論家」ですか。意図的にやっているのでしょうが、
きわめて低劣で下種の振る舞いとしか言えません。

文書以外の証拠、例えば、口頭の証言は「ある神話の風景」で解説されているように
遺族年金などを受けるための方便に過ぎなかったでしょう。知らないのですか？
それ以外の理由で証言したものであれ、口頭のものは得てして証言としては弱く、
数人が同じ内容のものを損得関係無しに行なったものなどでない限り、事実認定には
根拠足りえない。従軍慰安婦の軍令問題と同じでしょ。あなたは「慰安婦の強制連行は
あった！」と言う立場でしょうけれども。

山崎さんは「集団自決を命じる軍令があった」と言う立場なのだからさっさとそれを
提示して私達を黙らせればいいのです。次のエントリーで証拠を提示してください。
しなければ出来ないものとみなし、今後一切の集団自決訴訟のエントリーの信用度はゼロです。
この書き込みの魚拓も取りますし、削除したければしても結構ですが、それは貴方の
敗北逃走に他なりません。逃げたければ幾らでも逃げて結構です、似非保守の山崎さんが
そういう真似をするのは「当然」ですからね（笑）

こま 2009/05/23 23:41 ＞なまけものさま

＞戦後６０年の間に日本の歴史から沖縄が遮断されてしまったように思う。

戦後から沖縄返還（１９７２年）まで、沖縄に関する情報は一切持ち出し禁止でした。それは米軍指揮下の徹底した情報遮断でした。

沖縄の本土復帰から今まで、私は沖縄のほとんどを知りません。右左、上下。なんでも結構。知っている情報はお知らせいただきたいくらいです。

４，５年前までは年に３回くらい沖縄を旅しましたが（主にグスクをみるたび）お互いを知らなさ過ぎて会話が成り立たない経験をしばしばします。

ここでも同じです。

曽野綾子さんが弱者？

山崎行太郎 2009/05/24 00:32 >吉良影吉
>文書以外の証拠、例えば、口頭の証言は「ある神話の風景」で解説されているように
遺族年金などを受けるための方便に過ぎなかったでしょう。知らないのですか？

こういう事を書く時点で、貴殿が、関係文献を読んでいないことはバレバレです。しかも自信満々に、無知をさらけ出していますよ。まず、僕のブログの曽野綾子関係記事を読むことですな。「年金取得ののための軍命令」という話は、僕が論破し、今では誰も本気で主張しません。「知らないのですか」…(笑)。「馬鹿につける薬はない」とは、よく言ったものです。

吉良影吉 2009/05/24 02:36 山崎さん

該当記事をくまなく読んでみましたが、
どこに論破してあるのか全く分かりませんでした。

よろしければ該当記事を教えてください。

後、人を馬鹿にするのがお好きなようですが、
一言暴言を吐けば、その分敵が増えていく、と言う
小学生でも知っている事実だけは絶対に忘れないようにしてくださいね。

よこちゃん 2009/05/24 02:56 > 山崎行太郎さん

いわゆる「沖縄集団自決冤罪訴訟」では、当然のことながら沖縄ノートの内容が名誉毀損に当たるかどうか？が裁判で争われました。

真実性の抗弁ではなく、相当性の抗弁が適用されたからなのか？（判決文を読むとそのように解釈せざるを得ない）原告の敗訴という形になりましたが、１、２審ともに判決文に於いて「集団自決の軍命令はなかった」と”現時点では”認定されています。

過去の出来事について正確に把握するために、一次史料が必要なことは言うまでもありません。もちろん、それが見つからない場合に二次、三次の史料が有効性を増すわけですが・・・。曽野さんが言いたいのは、これまでに見つかっている史料や証言では「軍命令」を立証できないというだけのことでしょう。

なお、挙証責任は「軍命令があった」と主張する側にあることは言うまでもありません。

吉良影吉さんのコメントに対して、鬼の首を取ったかのように得意げに発言されていますが、吉良さんは「口頭のものは得てして証言としては弱く、数人が同じ内容のものを損得関係無しに行なったものなどでない限り、事実認定には根拠足りえない。」と書いているのです。

ですから、もしかしたら山崎さんは吉良さんを論破したと勘違いなさっているかも知れませんが、実際のところは違います。

いつも思うのですが、山崎さんは揚げ足取りというか、枝葉末節に囚われすぎて論点がどんどんズレますよね。

「集団自決の軍命令があった」という証拠、提示してください。

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