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「北朝鮮への制裁路線見直しを」蓮池薫さんの兄透さん

2009年5月23日20時43分

写真:インタビューにこたえる蓮池透さん=関口聡撮影インタビューにこたえる蓮池透さん=関口聡撮影

 北朝鮮に拉致され、02年に帰国した蓮池薫さん(51)の兄透さん(54)が、「北朝鮮への制裁路線の見直しを」と訴える著書「拉致 左右の垣根を超えた闘いへ」(かもがわ出版)を出版した。以前の強硬姿勢からの大きな変化で、波紋が広がりそうだ。

 透さんは97年の発足時から拉致被害者家族連絡会の事務局長を務めた。救出運動の先頭にたち、「対話より経済制裁を」と訴え続けた。

 転機の一つは04年5月の小泉元首相の再訪朝。家族会の他のメンバーは「幕引きに使われる」と反対したが、透さんは「現状打破には訪朝も必要」と考えた。薫さんの子ども2人はこのとき帰国した。

 更に大きかったのは薫さんとの対話だ。日朝両国を知る薫さんの分析に触れ、議論の中で「北朝鮮は一筋縄ではいかない国。単純に圧力だけでは被害者は帰ってこない」と考えるようになった。強硬姿勢だった時期について、「時間をとって冷静に考える余裕がなかった」と言う。

 出版に至った理由は、拉致問題が未解決のため、依然としてどこか不自由な生活を送っているように見える薫さん一家の存在という。「家族が帰ってきたお前は黙っていろ、という声も耳に入るが、蓮池家にとっても問題は全く終わっていない。閉塞(へいそく)状態を打破する議論のたたき台にしてほしい」と話す。

 透さんは05年に事務局長を辞め、現在は家族会と行動を共にしていない。(大谷聡)

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