2009年5月22日12時16分
家賃を滞納した借り主が強引に退去を迫られる「追い出し屋」被害で、大阪市城東区の男性が玄関ドアの鍵を2回交換され、居住権を侵害されたとして、貸主側に慰謝料など140万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が22日、大阪簡裁であった。篠田隆夫裁判官は鍵交換を不法行為と認定し、貸主側に約65万円の支払いを命じた。
支援団体「全国追い出し屋対策会議」(代表幹事・増田尚弁護士)によると、追い出し行為の代表例とされる鍵交換について賠償責任を認めた司法判断は初めて。
判決は「法律無視の鍵交換は国民の住居の平穏や居住権を侵害する違法な行為として厳しく非難すべきだ」と批判。「債務不履行(家賃滞納)を無視してまで居住権を認められない」とした貸主側の主張を退けた。
原告は派遣社員の男性(37)。被告は不動産賃貸会社「木村産業」(大阪市北区)。
判決によると、男性は昨年2月、賃料約4万3千円の賃貸住宅に入居。まもなく収入が減り、滞納した。同8月と10月に鍵を取り換えられ、計1カ月以上閉め出された。その間、同市西成区内の簡易宿所などを転々とした。判決は、貸主側について「業務の一環として日常的に不法行為を繰り返していた」と認定。「男性は不自由な生活を余儀なくされ、多大な精神的苦痛を受けた」と述べた。
木村産業は「この件に関しては答えられない」としている。