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山口県:公立病院、大半が赤字 7市町など改革プラン、負の連鎖断ち切れるか

 山口県内の7市町が運営する13公立病院のうち、07年度に9病院が赤字経営となっていることが、県がまとめた改革プランで明らかになった。08年度は岩国市立錦中央の1病院だけが黒字といい、公立病院の厳しい経営事態が裏付けられた。ほとんどの病院で人件費の占める割合が民間より高く、国が最低限に示す病床利用率に満たない病院もあった。

 総務省は07年12月、病院事業を担う全国の市町村に対し、経営の効率化、経営形態の見直しなどの改革プランを昨年度末までに策定するよう求めた。県内では、7市町が既にプランを作り、3病院を運営する下関市も今月中に策定する。

 県がまとめた7市町のプランによると、07年度に経常収支が黒字なのは、錦中央、山陽小野田市民、周防大島町立大島、岩国市立美和の4病院。美祢市立美東、周南市立新南陽市民などは厳しい経営となり、最も赤字幅の大きい山陽市民は08年4月に休止し、民間への売却が進む。

 民間では50%前後とされる職員の給与費比率(収入に占める割合)では、大島(65・9%)▽美東(65・2%)▽光市立大和総合(62・8%)などが高水準で、50%を切るのは2病院のみ。また、国のガイドラインでは、病床利用率が3年連続で70%未満となれば病床数などの見直し対象となるが、大島、大和総合が07年度は70%を達成できなかった。

 こうした経営悪化の背景には、04年度から臨床研修制度が見直されたことが一因。新卒医師が研修先を全国から自由に選べるようになり、地方で医師不足が進んだ。その結果、診療態勢が縮小され、患者が減ることで経営を圧迫した。県内の市町立病院の赤字は、03年度の約7億3000万円から5年後には約16億7000万円まで膨らんだ。

 7市町のプランでは、遅くとも13年度までに黒字化を達成する計画だが、県が主導する医師確保は順調に進んでいない。市町課は「医師が減ることで高度医療ができなくなり、1人あたりの診療単価も下がる。負の連鎖を断ち切らなければ病院経営はさらに厳しさを増す」とする。【井上大作】

毎日新聞 2009年5月19日 西部朝刊

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