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新型インフル:一斉休校 効果は専門家でも意見分かれる

 一斉休校などの感染拡大防止策の是非について、専門家に聞いた。感染症拡大のシミュレーションを研究する浦島充佳・東京慈恵会医科大准教授(小児科学)は「何も対策をとらなければ、患者が急速に拡大する。感染拡大を収束させるため、患者隔離や休校は有効な手段だ」と話す。

 11日に発表された米科学誌サイエンスの論文では、メキシコの状況を分析した結果「今回の新型インフルエンザは患者1人あたり1.4~1.6人に感染する」とされた。一方、仏のチームが14日、欧科学誌に発表した論文では、メキシコでの新型の感染力は患者1人あたり2.2~3.1人と、スペイン風邪並みの強さがあることが示された。

 浦島さんがシミュレーションしたところ、何も対策をとらなければ1人あたり1.4人の場合、国内での人から人への感染開始からピーク時の100日後に感染者は人口の5%に達する。3人の場合はピーク時の30日後に人口の3割に達し、社会活動のマヒや医療機関のパンクが起きかねないことが分かった。浦島さんは「米国では、季節性インフルエンザよりも重症者や入院者が多い。できる対策はとるべきだ」と話す。

 根路銘(ねろめ)国昭・生物資源研究所長(ウイルス生態学)は「新型ウイルスは、肺で増殖し重症化させるたんぱく質の構造が壊れており、感染力はあまり強くない。現在の患者数程度で休校するのはやり過ぎだ。過剰反応は社会全体への不安を拡大させ、経済的な影響などマイナスの影響の方が大きくなってしまう」と懸念する。【永山悦子、下桐実雅子】

毎日新聞 2009年5月18日 2時30分(最終更新 5月18日 2時49分)

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