17日に新型インフルエンザ患者が出た神戸高専(神戸市西区)の別の男子生徒の検体について、神戸市が廃棄を指示していたことが分かった。感染の広がりを見逃す可能性があり、疑問の声が上がっている。
男子生徒は16日午前、3区外の診療所の簡易検査でA型インフルと判明。診療所が同市発熱相談センターに相談すると、「新型インフルの患者が通う高校の学区ではないので、通常のインフルの対応を。検体は廃棄してください」と回答した。
同診療所は、検体を廃棄せず保存。事務長は「新型インフル患者だったらどうするのか。問題ないと家に戻り、広まる可能性がある」と憤った。17日夜、神戸高専で感染が判明したが、この生徒についてはまだ調べられていないとみられる。
市によると、検査依頼の急増に対応できないため、範囲を定めて、対象地区外の患者は一般の診療所で診察するよう医療機関に求めたという。
また、同市北区の診療所も、簡易検査でA型陽性となった県立高2年の男子生徒について16日に市保健所に問い合わせたが、「通常のインフルエンザと見られるので、自宅待機させるように」と言われた。医師は「もし新型なら、見逃して感染を広げる恐れがある」と指摘した。【山下貴史、渋江千春】
毎日新聞 2009年5月18日 2時30分(最終更新 5月18日 2時50分)