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ソニー国内3拠点を閉鎖へ 10年3月期も純損失見通し

2009年5月15日1時43分

写真:ソニーの大根田伸行・最高財務責任者(CFO)=14日、東京証券取引所ソニーの大根田伸行・最高財務責任者(CFO)=14日、東京証券取引所

 ソニーは14日、本業のもうけを示す連結営業損益が10年3月期も1100億円の赤字になりそうだと発表した。09年3月期も2278億円の赤字で、2年続けば58年の上場以来初めて。追加のリストラ策として、今年末までに岩手、千葉、静岡の3工場を含む世界5工場の閉鎖も決めた。

 10年3月期の連結業績予想は、売上高が前期比6%減の7兆3千億円で2年続けて減収。純損益は、グループのソニー・エリクソンの業績不振の影響もあり、1200億円の赤字という。

 この日発表した09年3月期は、売上高が前期比12.9%減の7兆7300億円、純損益は、08年3月期の過去最高益(3694億円)から一転して989億円の赤字になった。液晶テレビの不振に加え、円高の影響だけで売上高で9680億円、営業利益は2790億円も吹き飛んだ。

 10年3月期も低迷するのは、景気回復が遅れると見るからだ。為替水準も1ドル=95円と円高が定着する想定。看板の液晶テレビとゲーム事業で赤字が続く。

 テレビ事業は通期では6年続けての赤字を見込む。ただ、赤字幅は09年3月期(1270億円)より縮めたい考えだ。販売計画は1500万台と09年3月期(1520万台)とほぼ同水準に置き、「値段を安くしてまで台数を追求せず、利益確保を考える」(大根田伸行最高財務責任者)。コスト削減で下期は収支トントンを目指す。

 ゲーム事業は、据え置き機「プレイステーション(PS)3」の販売を1300万台と見積もる。09年3月期(1006万台)を上回るが、PS2の落ち込みで4年連続の赤字となりそうだ。

 ソニーは昨年秋の業績悪化を受け、電機事業で1万6千人以上の人員削減に踏み切り、国内外で3工場の閉鎖を公表していた。新たに閉鎖するのは、携帯電話部品や光学機器の生産・開発などを担う「小見川テック」(千葉県香取市)、「浜松テック」(浜松市)、「千厩(せんまや)テック」(岩手県一関市)の3工場。

 正社員計約1800人は、愛知や岐阜、千葉の別工場に配置転換を計画し、移れない社員からは早期退職を募る。非正社員の計約400人は契約満了時点で更新しない方針だ。メキシコとインドネシアの工場も今年9月に閉鎖する。

 ソニーは4月、ハワード・ストリンガー会長が社長を兼務し、組織も刷新した。主力のテレビやデジカメで国内生産を集約して効率を高め、一部は海外への委託生産を拡大。同時に、ネットワーク対応の商品やサービスを打ち出す戦略を掲げた。

 国内拠点の閉鎖は、こうした戦略の一環で、10年3月期の費用削減効果は3千億円と見込む。さらに1100億円の構造改革費用をかけ、コスト減らしを続ける。大根田氏は「組み立て(工場)は海外に行くと思う」と、国内工場のもう一段の縮小もにおわせ、人員削減もさらに進める方針だ。

 ただ、コスト削減が進む一方で、事業を引っ張る新サービスや商品は不在のまま。反転攻勢の一手はまだ見えない。(澄川卓也)

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