和歌山

文字サイズ変更
ブックマーク
Yahoo!ブックマークに登録
はてなブックマークに登録
Buzzurlブックマークに登録
livedoor Clipに登録
この記事を印刷

健やかわかやま:医療問題を身近に 医学生がオリジナル演劇--県立医大 /和歌山

 医学生が医療問題をテーマにしたオリジナル演劇を披露する「医療問題ロールプレイ」が、和歌山市紀三井寺の県立医大であり、患者や学生ら約300人が観劇した。医療の問題を自らのこととしてとらえ考えるのが狙い。

 「麻酔科・緩和ケア」の授業の一環で、今年10回目。臨床実習前の同大医学部5回生が、脚本から監督、俳優、照明・音響などすべてを取り仕切る。61人が4班に分かれ、約30分ずつ上演した。同大付属病院で入院中の磯部咲里ちゃん(10)は「すごく患者の気持ちを考えてくれてるとうれしかった」と笑顔を見せ、七宝静子さん(80)は涙を流し「良かった」。1班の小川敦裕さん(23)は「正解は一つじゃない。考え続けることが唯一の答えだ」と話した。

 病院長の畑埜義雄教授(麻酔科)は「医師になって劇と同じ状況に立ったとき、想像と違うことも起きるだろうが、患者の視点で考える遺伝子を学生は身に着けた」と満足そうだった。【加藤明子】

 ◇無医村勤務

 無医村勤務を命じられ、渋々引き受けた男性医師のイグチ=写真右。ある日、道端で農民に胸の痛みを訴えられるが、診療時間中に出直すよう伝える。間もなく心筋こうそくで倒れる農民。責められたイグチは、住民から「医師と患者はパートナーだ」と指摘され、独善に気付く。病床の農民に謝り、農作業を手伝い健康教室を開くなど交流を深め、村に残ることを決意する。

 ◇医療訴訟

 妊婦が帝王切開の手術中、大量出血して死亡。執刀医の神藤は業務上過失致死の罪で起訴される。珍しい疾患を予測して出血を回避できたかが争われた裁判で、神藤は無罪を主張、証人に立つ産婦人科医も擁護する。だが、「ありのまま話してほしい。死んだ妻と生まれてきた子のため、真実を知らねばならない」と遺族の夫に言われ、「大切なものが欠けていたのか」と自問する。

 ◇告知

 インフォームド・コンセント(十分な説明に基づく同意)をテーマにした劇中劇。白血病を告知されなかった少女は恋人と病院を抜け出し、息を引き取る。その結末に納得できない観客の医学生が医師役になり、劇中劇が始まる。告知を受けた少女は病気と向き合い闘病する。だが、両方を見終えた観客が「最初の方がよかった」とつぶやき、医学生は戸惑う。

 ◇天国か現実か

 故障で五輪代表選考から外される社会人バレーボールチームの前芝。交通事故を起こし、「生と死の狭間」に来る。案内人は、天国か現実かを選ぶよう言い渡し、両方の前芝の姿を見せる。天国では「望むモノすべてが手に入る」が、現実では意識が戻らず障害が残る可能性もある。だが、目を覚ますよう呼びかけ続けるチームメートの姿に現実を選んだ前芝は、4年後チームの監督となる。

毎日新聞 2009年5月16日 地方版

和歌山 アーカイブ一覧

 
郷土料理百選
地域体験イベント検索

特集企画

おすすめ情報