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【政治】

名古屋市が徳山ダムの導水路撤退 国と東海3県の反発必至

2009年5月15日 09時13分

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 名古屋市の河村たかし市長は14日、徳山ダム(岐阜県揖斐川町)の水を、同市と愛知県の取水口がある木曽川まで流す「木曽川水系連絡導水路事業」から撤退する方針を明らかにした。水需要が増えていないことが理由で、同ダムの水を毎秒1・7トン利用できる権利は放棄する。

 市が撤退しても、導水路の規模を小さくするなどして事業費を削減するのは難しい。事業継続には、市と同じく権利を持つ愛知県を中心に、国や岐阜、三重両県の負担が増す可能性があり、反発が起こるのは必至だ。

 導水路は水資源機構が本年度に着工し、総事業費890億円のうち、市は2015年度までに121億円を負担する計画。市の本年度分1億6千万円は今月25日が1回目の支払期限だが、市はすでに「支払わない」と機構に通告した。

 さらに権利を放棄することで、市は、毎年1億3千万円負担している徳山ダムの維持管理費も今後は支払わない構え。ただ、3500億円をかけて完成したダムの建設費は、市負担分のうち90億円を払っただけで、今後20年余かけて利息も含め310億円を支払う必要がある。

 河村市長は本紙の取材に「水の使用量は1970年代をピークに減っている。水余りの中、さらに何百億円も投じて導水路を造る必要があるのか。渇水時には節水や農業用水の活用など市民の協力で乗り切れる」と話し、導水路事業そのものの見直し議論に火を付けたい姿勢も示す。早々に討論会を開き、市民の声も聞きたいとしている。

 導水路の建設には名古屋市議会でも一部に疑問の声が上がったことはあるが、大勢は建設に同意しており、河村市長の方針には今後、議会が反発する可能性もある。

 河村市長は、民主党の衆院議員時代から徳山ダムには反対の立場をとっていた。

 【木曽川水系連絡導水路事業】 揖斐川と木曽川を直径4メートル、全長43キロの地下トンネルで結び、徳山ダム(岐阜県揖斐川町)の水を毎秒4トン、渇水時は同20トン、木曽川に放流する。木曽川には愛知県と名古屋市の取水施設があり、都市用水への利用、渇水時の木曽、長良川両河川の環境改善などが目的。上流、下流の2ルートを建設する計画。2009年度に着工し15年度の完成が目標で、総事業費890億円は国と愛知、岐阜、三重各県と名古屋市が負担する。

(中日新聞)

 

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