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【橋下流学力再生】(下)学力定着の成否は教員の意識次第 

2009.5.14 02:01
このニュースのトピックス橋下府政

 「きょうは引き算の1章です。さあ袋からDSを出して」。数学の玉置貴明教諭(28)が呼びかけると、教室の中学1年生たちは携帯ゲーム機「ニンテンドーDS」を手に取り、計算問題が次々と映し出される画面にタッチペンで答えを入力し始めた。

 大阪府大阪狭山市の市立第三中学校では、府教育委員会が進める携帯ゲーム機活用学習を今年1月から取り入れている。公立小中学校計20校に40台ずつDSを貸し出し、学習ソフトによって基礎学力定着を促す取り組み。橋下徹知事が昨年の全国学力テストの市町村別結果開示に合わせて発表した学力向上プラン「『大阪の教育力』向上に向けた緊急対策」の目玉である。

 第三中では早くも「DS効果」が表れ始めている。現2年生約180人を対象に行った計算力テストの平均正答率は、DS導入後の2カ月間で64・1%から80・8%に上昇。最後の問題までたどり着いた生徒の率は30・1%から60%とほぼ倍増し、計算のスピードが着実にアップしていることもうかがえる。

 「即座に答えが表示されることが通常の学習にはないメリット。大量の問題をテンポよくこなしていくことは子供たちに達成感を与える」と玉置教諭。「20問ごとに時間が表示されるので『次はもっと早く解こう』って思う。問題のレベルが少しずつ上がっていくからゲームみたいで楽しい」。1年生の押村佑哉君(12)は声を弾ませた。

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 全国に先駆けてDSを学校に導入したのは京都府八幡市教委だった。

 平成19年度から市立の全4中学校、20年度から9校中5校の小学校で英単語や漢字の学習に活用。中学生の場合、覚えている英単語が1人平均836語から1136語に増え、英検3級レベルとされる1300語をマスターした生徒の率は8・2%から31・3%に急上昇したという。

 大阪府でのDS活用に際し、府議会などでは「子供がゲーム漬けになるきっかけを与えるのではないか」との批判もあがっているが、八幡市教委の担当者は「そもそも学校で使う前からDSを持っている子がほとんど。保護者からのクレームもない」。大阪狭山市立第三中の寺井靖博校長(55)は「DSだけでは考える力をはぐくむことはできない」としながらも、「生活になじんでいる機器なので子供たちにとっては取っつきやすいようだ」とメリットを強調する。

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 市町村ごとの実施状況にばらつきが目立つ大阪府の学力向上策。背景には各自治体の予算確保の困難さなどがあるとみられるが、加えて寺井校長は現場の意識の問題を挙げた。

 「どうしても教員は今までしてきたことから離れるのに不安を感じてしまう。DSなどの新しいものに飛びつく意気込みを持てるかどうかも、取り組みの成否を左右している」

 また、府議会一般質問などで画一的な施策展開に疑問を投げかけてきた梯(かけはし)信勝議員(55)=民主=は「学力向上策の中身に反対するつもりはない」と断ったうえで、市町村や学校ごとに予算や人材を傾斜配分できる仕組みづくりを提案する。

 「学力以前の『子供を落ち着かせておく』といった課題に追われている学校もある。そうした学校への支援を手厚くしない限り、学力テストの市町村別結果を公表しても、興味本位の見方と学力格差固定を招くだけではないか」

 (この連載は松本学が担当しました)

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