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静岡県・兵庫県
公立病院改革・再編は多様化の時代へ
注目される異なる市の市立病院統合
2009.5.11

 全国公立病院の再編・統合のネットワーク化や経営形態の見直しが動きだした。静岡県の掛川市と袋井市が、それぞれの市立病院を統合することを決定したのに続き、兵庫県でも神戸大の中核拠点病院として小野市と三木市が、各市立病院を統合し、新病院「北播磨総合医療センター」(仮称)を建設することを決めた。さらに愛知県では、一宮市立尾西市民病院が3月末で閉院したのに伴い、その譲渡先が社会医療法人杏嶺会に決まるなど、公立病院改革は多様化の時代に入った。

 総務省は4月末に、全国の公立病院改革プランの策定状況に関する調査結果をまとめた。その中で同省が強い関心をもって受けとめているのが、異なる市がそれぞれ所管する市民病院同志を統合する動きだ。全国の先駆けとなったのは、静岡県の掛川市と袋井市が、掛川市立総合病院と袋井市立袋井市民病院を統合し、2012年に新病院の開院を決定したことだ。近距離にある2つの市立病院が、老朽化に伴う建て替えを契機に、統合に向けた議論がまとまった。

●兵庫県の但馬圏域 医療機能分担で提供施設の分類構想浮上

 兵庫県では、小野市と三木市が、小野市民病院と三木市民病院を統合し、神戸大の中核拠点病院して位置付けることで合意した。そのコンセプトは、マグネットホスピタル(勤務医が集まる専門的教育を施せる病院)として、<1>神戸大学系列の中核拠点病院<2>臨床研修教育に力を入れ各地域に医師を派遣できる病院<3>病院の特色を生かし総合医の育成ができる総合病院−としており、13年4月に開院の予定だ。

 さらに兵庫県では、但馬圏域の医療を急性期医療提供施設と慢性期医療提供施設に機能分化する再編計画を検討している。公立豊岡病院と公立八鹿病院は24時間・365日、急性期医療を提供するとともに、慢性期医療を担う病院の外来機能などを支援するとしている。

 慢性期医療を担当するのは、公立香住病院、公立豊岡病院日高医療センター、同出石医療センター、公立朝来梁瀬医療センター、公立朝来和田山医療センター、公立村岡病院、公立浜坂病院。中でも和田山医療センターはリハビリテーション機能、日高医療センターは人工透析機能、眼科センター機能など特色ある機能分担を行う。

 一方、公立病院の民間移譲は、依然として病院改革の選択肢の1つとなっている。総務省の調査によると、今年から来年にかけての民間譲渡予定病院は12病院。中でも、この4月1日に社会医療法人に認定された愛知県の特定医療法人杏嶺会が、一宮市立尾西市民病院の移譲先公募に手挙げをし、譲渡先に決まった。これにより、一宮市立尾西市民病院は3月末で閉院し、4月から「尾西記念病院」と改称し、社会医療法人杏嶺会の1つの病院として再スタートを切った。

 同じ愛知県の高浜市立病院も3月末で閉院した。4月から医療法人豊田会の刈谷豊田総合病院高浜分院として開院した。

 総務省の調査で民間移譲予定病院は、<1>福島県のいわき市立常磐病院<2>茨城県の筑西市民病院<3>東京都の都立豊島病院(4月から財団法人東京都保健医療公社に運営を移管)<4>大阪府の大阪市立北市民病院<5>愛知県の一宮市立尾西市民病院<6>愛知県の高浜市立病院<7>島根県の町立奥出雲病院(歯科部門)<8>山口県の山陽市民病院<9>佐賀県の武雄市立武雄市民病院<10>長崎県の長崎市立野母崎病院<11>長崎県の長崎市立琴海病院<12>長崎県の西海市立病院−の12病院。

●指定管理者制度 年内に福岡・秋田で導入

 さらに指定管理者制度は、10病院が導入を予定している。中でも年内の導入が予定されているのが、福岡県の北九州市立門司病院と秋田県の北秋田市民病院。北九州市立門司病院は、医療法人茜会を指定管理者として選定し、4月から経営改善に乗り出した。

 さらに、秋田県の北秋田市は、10月の開院を目指して北秋田市民病院を建設している。その経営形態は指定管理者制度を導入。秋田県厚生農業協同組合連合会の北秋中央病院が指定管理者に選定されている。

●さらなる機能分化・統合を推進

 全国の自治体では、地域の特性にかんがみながら、公立病院の再編・統合への検討を進めている。

 例えば、青森県では、国民健康保険五所川原市立西北中央病院、公立金木病院、鯵ケ沢町立中央病院、つがる市立成人病センター、国保鶴田町立中央病院の5病院で、医療機能を再編する動きがでている。この5つの自治体病院が、13年度末までに「中核病院1、サテライト病院2、サテライト診療所(無床)2」に機能を再編する構想だ。病床規模は、現行の5病院の合計病床数954床を、3病院2診療所で644床に、310床減床する予定だ。

 また佐賀県では、伊万里市と有田町が伊万里市立市民病院と有田共立病院の統合のため、昨年2月に伊万里・有田地区医療福祉組合を設置。11年4月に両病院の統合を進める。高知県でも、県立安芸病院と県立芸陽病院を統合し、13年度内に安芸地域県立病院(仮称)として開院する準備を進めている。


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