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社会
<DNA不一致 19年目の足利事件>(下)揺らぎ始めた“真相” 広がる不安と戸惑い 立ちはだかる公訴時効の壁(5月13日 05:00)菅家利和受刑者(62)ではなく、犯人は別にいる−。その可能性を突き付けたDNA再鑑定不一致の結果に、事件現場周辺では戸惑いや不安など波紋が広がっている。 「例え菅家受刑者がシロだったとしても、誰かが真実ちゃんを殺害している。犯人が捕まらなければ真実ちゃんは浮かばれない」。 松田真実ちゃん=当時(4つ)=が通っていた保育園の園長(67)は今でも、あのあどけない姿を忘れないという。 一九九〇年五月、足利市田中町の渡良瀬川河川敷で、あおむけで倒れていた全裸の幼女が発見された。前日にいなくなっていた真実ちゃんだった。すでに死亡しており、死因は首を絞められたことと判明。足利署に捜査本部が設置され、県警の威信をかけた捜査で、約一年七カ月後、菅家受刑者が逮捕された。 「あの人が犯人だと思っていたから」。現場周辺で活動している地元の探鳥会の男性は、「当時の捜査では犯人らしき人はほかにいなかったんでしょ。今ごろ違うと言われても」とDNA型不一致に困惑する。 ■真犯人は… 事件発生当時、学生だった現場近くに住む女性(33)は、今は二児の母。「DNA型が不一致なら、真犯人がその辺にいるのかもしれない」。そんな不安を感じるようになったという。 ■解明望む声 再鑑定で見え隠れする「真犯人」の影…。菅家受刑者が無罪になった場合、真犯人の解明を望む声は一層増すが、公訴時効の壁が立ちはだかる。 発生当時の殺人事件の時効は十五年。足利事件は、四年前に時効が成立している。真犯人が名乗り出ても、刑事罰は問えない。 今月十二日。渡良瀬川の土手と川の間には、当時と同じ野球場やサッカー場が広がる。高校球児たちの練習の声が響いた夕方から一変、日没後は人けなく静まり返る。野球場や公園などがすっぽりと闇に包まれた。 真実ちゃんを殺害したのは誰だったのか。この日、事件は発生から二十年目の夜を迎えた。 [写真説明]松田真実ちゃんの遺体が発見された日没前の渡良瀬川河川敷。19年前、真実ちゃんと河川敷に向かったのは本当に菅家利和受刑者なのか=12日午後6時20分、足利市伊勢南町 その他のニュース
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