2009都議選
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【社会】いすゞに賃金支払い命令 元期間従業員 減産で休業扱い2009年5月13日 朝刊 いすゞ自動車栃木工場(栃木県大平町)の元期間従業員の男性三人が、減産を理由に休業扱いとなり、その間の賃金をカットされたのは不当として、いすゞに減額された賃金の支払いを求めた仮処分申請で、宇都宮地裁栃木支部は十二日、期間従業員側の訴えを全面的に認め、請求額全額の計約八十二万七千円の支払いをいすゞに命じる決定をした。 いすゞの非正規労働者による一連の仮処分申請で、期間従業員に対する決定が出たのは初めて。 いすゞ側は休業扱いの理由を「経営状況の悪化」などと主張していたが、橋本英史裁判官は「少数の期間労働者への賃金削減で生まれる経営上の利益は、経営規模からみて微々たるもので、必要性は乏しい」と指摘。「今年三月期の営業利益や経常利益はいずれも黒字で、休業の合理性を肯定することは困難」と結論づけた。 いすゞは昨年十一月、栃木工場と藤沢工場(神奈川県藤沢市)の期間従業員計約五百五十人に解雇を通告。同十二月に撤回したが、残りの期間は契約満了時まで休業扱いとし、六割の賃金支給とした。三人は昨年末に仮処分を申請し、一−四月分の減額分を全額支払うよう求めていた。 期間従業員側の代理人弁護士は「主張が認められ、完全勝利といえる。同様の立場の非正規従業員を勇気づける決定であることは間違いない」と話した。いすゞは「決定の内容を見ていないのでコメントできない」としている。 ◆目標は正社員「大きな弾み」「今回の決定を素直に喜びたい」。申立人の一人で、昨年十二月に全日本金属情報機器労働組合(JMIU)に加入、いすゞ自動車支部の執行委員長を務める松本浩利さん(46)は栃木県庁で記者会見し、笑顔を見せた。 申し立てから約五カ月に及んだ審尋は、減額分を全額支払うことで裁判官が和解を勧告したが、いすゞ側が拒否したため決裂。並行して続けてきた同組合と会社との団体交渉も難航していた。松本さんは「決定が出るまで本当に長かった。いすゞは素直に非を認めてほしい」と語った。 栃木、藤沢両工場の組合員十二人は、地位確認と損害賠償を求める訴えも東京地裁に起こしている。「今回の決定が勝訴への大きな弾みになる」と期待を込める松本さん。最終的には、いすゞで正社員として働くことが目標だという。
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