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カンヌ国際映画祭:13日開幕 コンペ部門に巨匠の新作ズラリ

 第62回カンヌ国際映画祭が13日(日本時間14日未明)、南仏・カンヌで開幕する。世界的な不況で来場者の出足が鈍ることが予想される中で、その権威と魅力を誇示するかのように、コンペティション部門に巨匠の新作をズラリと並べてみせている。【勝田友巳】

 ◇史上初、開幕に3Dアニメ作品

 オープニング作品は、ディズニーの3Dアニメ「カールじいさんの空飛ぶ家」。3Dアニメが開幕を飾るのはカンヌ史上初めてだ。ハリウッドが力を入れる3D化は、映画の進化の最先端である。積極的に新しいものを取り入れるカンヌの敏感さをアピールするかのようだ。

 最高賞のパルムドールなどを競うコンペティション部門に出品されたのは20本。革新的な開幕作とは対照的に、おなじみの監督の作品がそろった。86歳のアラン・レネも新作を披露するが、大勢は50代以下。“新たな常連”とも言うべき監督たちだ。カンヌの世代交代は完了した感がある。

 そのうち過去にパルムドールを受賞したのは、クエンティン・タランティーノ、ジェーン・カンピオン、ラース・フォン・トリアー、ケン・ローチの4人。他にもペドロ・アルモドバル、ミヒャエル・ハネケら欧州の人気監督が集まる。

 ◇菊地凛子が主演で2度目の参加

 残念ながら日本映画は選ばれなかった。しかし、「バベル」でアカデミー賞助演女優賞にノミネートされた菊地凛子が、コンペ作品の一つ「マップ・オブ・ザ・サウンズ・オブ・トウキョウ」(スペインのイザベル・コイシェ監督)で主演。菊地の演じる殺し屋と標的になった男のラブストーリーだ。ほぼ全編が日本で撮影され、菊地は日本語と英語で演じている。

 菊地のカンヌ参加は07年、「バベル」のときに次いで2度目。菊地は「そのときに比べれば、今回は余裕があります。出演した作品が成長していくのを見るのは楽しみ」と喜んだ。女優賞を受賞すれば、日本人初となる。

 また、ギャスパー・ノエ監督の「エンター・ザ・ボイド」も日本で撮影された映画だ。

 ◇中韓など目立つアジア勢の作品

 日本映画はなくとも、アジア勢は目立っている。中国のロウ・イェ、香港のジョニー・トー、台湾のツァイ・ミンリャンとアン・リー、韓国のパク・チャヌク、フィリピンのブリランテ・メンドーザと、6人の作品がコンペ入りした。カンヌの“東”への関心は、今回も強かった。

 8人の審査員のうち、審査員長のイザベル・ユペールら4人が女優という構成も斬新だ。賞の行方にどう影響するか、興味深いところ。コンペの各賞は最終日の24日に発表される。

 日本映画は「ある視点」部門に、是枝裕和監督の「空気人形」が出品されている。昨年、同じ部門で黒沢清監督の「トウキョウソナタ」が審査員賞に選ばれており、連続受賞の期待がかかる。

 映画祭と並行して開かれる「監督週間」では、諏訪敦彦監督がフランスの俳優イポリット・ジラルドと共同監督した「ユキとニナ」が上映される。また、フランスの監督協会が14日、過去のカンヌでカメラドールとグランプリを受賞した河瀬直美監督に功労賞を贈る。

毎日新聞 2009年5月12日 東京夕刊

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