弁護士らでつくるNPO「患者の権利オンブズマン」(東区、池永満理事長)は11日、男性患者(75)のカルテ開示請求を拒否したとして、博多区店屋町の病院「ブックスクリニック福岡」(藤野武彦理事長)に、速やかに開示するよう勧告したと発表した。カルテの開示勧告を巡り、同NPOが医療機関名を公表するのは初めて。池永理事長は「誤った法解釈で非開示としており遺憾」と話した。
オンブズマンによると、男性は2月、同院を受診した03年10月~07年8月分のカルテ開示を要求したが、同院は拒否。3月に男性の苦情申し立てを受け調査したオンブズマンに対し、同院は「請求はクレーム目的と考えられ、不当なクレームから自己防御する権利がある」などと説明したという。
しかし、個人情報保護法に基づく国の指針はカルテ開示請求に理由は不問としており、オンブズマンは4月15日に開示を勧告。事前に求めた2週間以内の是正がなく、公表に踏み切ったという。
藤野理事長は取材に「必要な診療情報の開示は積極的に応じているが、すべてのカルテの写しを持ち出す必要はない」と話した。
〔福岡都市圏版〕
毎日新聞 2009年5月12日 地方版